◆前回の小欄では、黄色のイメージを悪くする事件のことを書いた。今日は「黄色」の名誉挽回のため、明るい黄色の話をしよう。
◆日本テレビの夏の恒例企画「24時間テレビ」のイメージカラーは黄色である。出演者がみんな黄色の「チャリT」シャツを着て盛り上がる。当初は「愛は地球を救う」というスローガンが大袈裟過ぎて好きになれなかったが、さすがに37年にもわたって続くと「本物」と思えてくる。まさに「継続は力なり」だ。他局も似たような企画をやるがまったくつまらないし視る気も起きない。24時間テレビには「チャリティ」というぶれない軸がある。いまでは「サライ」(24時間テレビのエンディングテーマ曲)を聴かないと夏が終わる気がしない。
◆24時間テレビのハイライトはチャリティ・マラソンである。100㎞前後の超長距離を番組のスタートからエンディングまで丸一昼夜をかけて走る。チャリティ・ランナーに選ばれるタレントは、もちろん有名人なのだけど、トップアイドルとか人気女優とかではなく、(失礼ながら)盛りを過ぎたなんとなく落ち目のひとが多いような気がする。だからこそなのか妙に応援したくなるのだ。
◆批判がないわけでもない。チャリティを売りにした偽善的番組であると。チャリティ・ランナーへのギャラは1000万円だとゴシップ誌が書き立てた。高額ギャラと高視聴率を目当てに、チャリティ・ランナーになりたい芸能人はひきもきらないらしい。
◆「歯くいしばるってことを忘れていた。この10年、怠け者のように生きてきた。このオファーをもらったのは、もう一度、昔みたいに歯くいしばってがんばることやらなきゃだめだって言われているみたいな気がした」2007年のチャリティ・マラソンを走った欽ちゃんこと萩本欽一さんの言葉である。テレビだから商業的要素も偽善的なところもあるのは百も承知で、それでも、やっぱり、足の痛みや疲労に耐えて必死にゴールを目指すひとの姿を見ると「がんばれ!」と言いたくなる。歯くいしばってがんばっているひとを応援するのはひとの自然な心である。
◆今日9月1日でマネックス証券に入社して丸4年が経った。マラソンに喩えれば、まだスタートしたばかり。先は長い。ここから歯くいしばって走り続けていきたい。そういう思いを新たにした、マネックス5年目のスタートである。明るい黄色の話をするのを忘れていた。24時間テレビのイメージカラーの黄色は、山田洋次監督の『幸せの黄色いハンカチ』がモチーフとなっているそうである。やっぱり黄色はひとの心を明るくする幸せの色なのである。
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆