12日発表の米CPIが目先のマーケットの方向性を決める

7月第1週目のS&P500は0.16%下落、ナスダック100は0.94%の下落。先週発表された雇用統計やISM指数を受けて、弱含みの展開となりました。

7月12日(水)には6月のCPI(消費者物価指数)が発表されます。7月25-26日に開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)を控えて、最もマーケットが注目する経済指数です。コアCPIは先月比で0.3%の増加が予想されていますが、中古車価格の下落により予想を下回る可能性があると見ています。今回のCPI発表が目先のマーケットの方向性を決める要因の1つになると考えています。

今週から米国企業の第2四半期の決算発表がスタート

また米国では今週から第2四半期の決算発表が始まります。いつものように米国では、JPモルガン・チェース[JPM]を筆頭とする銀行業界銘柄の決算発表を皮切りに、徐々に決算発表を行う企業が増え、アルファベット[GOOGL]、マイクロソフト[MSFT]、メタ・プラットフォームズ[META]、アマゾン・ドットコム[AMZN]などのGAFAM企業の決算発表が予定されている7月24日の週と翌週の2週間にピークを迎え、その後、徐々に減っていく見通しです(図表1参照)。

【図表1】S&P500採用企業 2023年第2四半期 決算スケジュール(日毎の発表企業数)
出所:ブルームバーグよりマネックス証券作成

また、7月19日に予定されているテスラ[TSLA]の決算発表もマーケットの方向性を決める要因の1つになるでしょう。

決算発表前に業績予想が下方修正された場合、発表後のパフォーマンスは?

5月20日時点のS&P500採用企業のEPS成長率予想では、前年同期比8.1%の減益予想でしたが、先週末時点では9.0%の減益予想と下方修正となりました。

【図表2】S&P500採用企業のEPS成長率予想(四半期ごと)
期間:2021年第4四半期〜2024年第3四半期
出所:ブルームバーグよりマネックス証券作成

過去を振り返ると決算発表までに業績予想が下方修正された場合、実際の決算発表では事前予想を上回る結果が見られました。決算発表前と発表後のS&P500のパフォーマンスを調べてみました。

図表3は、参考までに過去10年間のJPモルガンの決算発表前後のS&P500の騰落率を表しています。JPモルガンの決算発表日を米国企業の決算発表の始まりとしたものです。JPモルガンの決算発表日の前の10日間の株価は92%の確率で上昇、発表後は83%の確率で上昇しています。発表前に株価が上がると、その後も上昇するものの、発表前よりパフォーマンスは良くないようです。今回の決算は良さそうだという期待感を織り込んでのことではないかと考えられます。

これはあくまでも参考までですが、業績見通しについて期待感が低くマーケットが事前に下がり、その後思ったほど悪くない結果が出るようであれば、発表後のパフォーマンスはそれほど悪くならない可能性が高いように思います。

【図表3】過去10年間のJPモルガンの決算発表前後のS&P500パフォーマンス
出所:ブルームバーグよりマネックス証券作成