ダブルトップが発生中

前回のコラムでは、「25日移動平均線上を維持できるかが注目ポイント」と解説しましたが、上向きの25日移動平均線で下げ止まり、その後は反発するとともに、それまで下回っていた5日移動平均線を上回りました。

また、5日移動平均線も上向きに変化して株価のサポートになっているのが分かります。このような状況の中、1つ気になる点があります。それは、終値ベースでは年初来高値を更新しているものの、取引時間中の高値を更新できておらず、いわゆるダブルトップの状態になっていることです。

ダブルトップとは、トレンド転換の際に発生する形で、高値を2つつけた後、高値と高値の間の安値(=ネックライン)を下回ると完成するもので、その後に株価が下落するというフォーメーション分析の1つです。今回はそのダブルトップが発生しており、今後もこのダブルトップが発生するかが注目ポイントになります。

仮に5日移動平均線を下回って戻せなくなるようですと、5日移動平均線が下向きに変化するとともに、上値の抵抗になって25日移動平均線に再び接近することが視野に入ります。

また、25日移動平均線も下回ると、ネックラインを下回ることが考えられますが、このネックラインを下回って戻せなくなると、トレンド転換時に発生するとされるダブルトップが完成することになります。そうなると、75日移動平均線辺りまでの下落も視野に入るため、要注意と言えるフォーメーションなのです。

一方で、5日移動平均線上を維持したり、5日移動平均線を割り込んでも、前回と同様に25日移動平均線上で下げ止まったりするようですと、もち合いに変化することになるため、ダブルトップの発生が打ち消されることになります。

ただ、ダブルトップは打ち消されても、もち合いが発生している間は上下どちらかにトレンド発生する可能性が残るため、下落に注意することに変わりはありません。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成

モメンタムの大きな水準低下は何を示すのか

続いて上昇と下落の勢いを教えてくれるモメンタムを見てみましょう。モメンタムとその移動平均線であるシグナルを見ますと、株価は終値ベースの高値を更新するとともに高値圏で位置しているにも関わらず、大きく低下しているのが分かります。

このような状況も、上昇の勢いが弱まっていることを示す逆行現象が発生している状態と考えられます。

そのため、モメンタムとシグナルの両方が、上昇と下落の勢いの判断の分かれ目となる0ラインを下回って戻せなくなるようですと、5日移動平均線や25日移動平均線割れが現実味を帯びてくることになるのです。

特に、モメンタムとシグナルが0ラインを割り込んで低下が続く場合、ネックラインを割り込む可能性が高まるとともに前述のダブルトップの完成が視野に入ってくることから、押し目買いは慎重に行う必要があると言えます。

トレンド転換のサインが完成するのか、あるいはもち合いを形成してダブルトップが打ち消されるのか、重要な局面に差し掛かっていると言えそうです。