2023年上半期、S&P500は15.9%上昇、ナスダック100は38.8%上昇

先週、S&P500は2.35%上昇、ナスダック100は1.93%上昇となりました。先週発表された経済指標はインフレの改善を示すものでした。6月30日(金)に発表された5月の個人消費者支出(PCE)は前年同月比で3.8%上昇、市場予想と一致、前月の4.3%から改善。この日、S&P500は1.23%上昇、ナスダック100は1.6%上昇と先週の上げのほとんどを稼いでいます。

30日(金)は、6月末であり、第2四半期末であり、上半期の終わりでもありました。6月のS&P500は6.5%上昇、第2四半期では8.3%上昇、半期では15.9%上昇となっています。思い起こせば、2022年末時点での米国株の見通しは2023年前半にもリセッションがやってくると非常に悲観的な見方が多くありました。しかし、蓋を開けてみれば、2023年上半期は15.9%も上昇したのです。

マーケットの格言である「ブルマーケットは悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち始める」とはよく言ったものだと改めて考えさせられます。企業業績についても、市場が恐れていたほど悪くなかったことで安堵感を与える結果となりました。2022年1月4日に付けた史上最高値まであと8.3%です。

先週は色々と歴史的な出来事が起きた週でした。ナスダック100についても、6月は6.5%、第2四半期は15.2%、年初から38.8%とそれぞれ上昇しました。ナスダック100の上半期の38.8%の上昇率は、1998年の35%の上昇率を超え、ナスダック100が発表されるようになった1986年から過去最高の上げ幅となっています(図表1参照)。

【図表1】NASDAQ100 上半期のパフォーマンス(期間:1986年~2023年)
出所:ブルームバーグよりマネックス証券作成

アップル、世界初の時価総額3兆ドル超を達成

もう1つの歴史的な出来事が起きたのはアップル[AAPL]です。2023年の米国株の上げを牽引した銘柄の1つはアップルでした。世界の株式市場で時価総額トップの同社の株価は6月30日(金)2.3%上昇し、193.97ドルの史上最高値を付け、時価総額はついに3兆ドルを超えたのです。2023年に入ってからは39.3%上昇とS&P500の15.9%の上昇を大きくアウトパフォームしています。アナリストのコンセンサス目標株価予想の189.61ドルを超えたものの、29日(木)には240ドルを目標株価とするアナリストの新規調査開始もあり、株価の上昇に勢いをつけました。

裾野が広がる米国株、さらなる上昇を示唆

先週のマーケットを見ていると、GAFAM+NTに代表されるメガキャップ以外の上げが目立ちます。これは、より多くの銘柄が市場の上げに貢献し、裾野が広がっていることを意味し、これからのマーケットにとってポジティブな展開が起きています。

先週のS&P500は2.35%上昇していますが、500銘柄全ての株価の動きが同じように反映されるS&P500均等加重指数は3.35%上昇しており、メガキャップ以外の銘柄がより上昇していることが確認されます。同じように大型株中心に構成されるナスダック100が+1.93%だったのに対し、ナスダック総合は+2.19%と前者をアウトパフォームしました。また、小型株指数のラッセル2000は3.68%の上げ、近年IPOをした銘柄で構成されているルネッサンスIPO指数も5.09%上昇とマーケットの裾野が広がっています。

これまでGAFAM+NTのようなメガキャップだけが大きく上がっていることを懸念する声が多く聞かれました。しかし、実際には、このように幅広い銘柄が市場の上げに貢献しているのです。

6月の米国株はサマーラリーの真っ只中で、株価が上昇しやすい季節性があることは本コラムでも紹介してきました。

【図表2】S&P500 6〜7月のリターン
出所:ブルームバーグよりマネックス証券作成
※このグラフは1928年から2023年上半期までのS&P500の6月と7月の日々の推移の平均を表したものです(5月末時点を100として指数化)。

マーケットの裾野が広がる中、米国株の歴史的なパターンが繰り返されるのであれば、7月も堅調なマーケットが期待できると思います。

7月3日(月)のニューヨーク市場は現地時間13時に休場、翌4日(火)は独立記念日で休場となります。