◆日本では日付を月/日と表記するから、7/22は7月22日のことである。 ところが欧州では日本と逆に日/月と表示するので7月22日は22/7と表す。22/7を分数ととらえれば「7分の22」はアルキメデスが求めた円周率の近似値。「円周率の日」は3.14にちなんで3月14日だが、今日7月22日も一部で「円周率の日」とされている。

◆24/7はトゥエンティ・フォー・セブン。(1日)24時間(1週間)7日、つまり「年中無休、常に、いつも」という意味。「24/7」というドリカムの歌があったっけ。1日24時間、週7日、いつもあなたを想っていますと。それを言うならビートルズのほうが上をいく。Eight Days A Week - 1週間に8日あっても足りないくらい愛してる。

◆1週間が8日なんて勘弁してくれとハードワークのひとは言うだろう。かつて某証券会社の勤務時間は7/11(セブン・イレブン)、朝7時から夜の11時まで、と揶揄された時代があったけど、実態はさらに酷かった。その某証券にいた友人から聞いた話だ。外交を終えて支店に戻ると夜は電話営業が始まる。その日の目標が達成できるまで文字通りエンドレス。何時になっても帰れない。午前零時を過ぎてお客に電話することもあったという。

◆「さすがにそれはお客に怒られるのでは?」と尋ねると、「100人が100人とも激怒するよ。『何時だと思ってるんだ、このボケ!』ってね」「じゃあなんでそんな不毛なことをやるの?」「営業的なことを言えば、確かに逆効果だし意味はない。でもね、そうやって真夜中まで電話をかけ続けると、なかにひとりくらいは『大変だねえ』といって約定してくれるお客さんがいるんだ」

◆もちろん、深夜の電話セールスなんて言語道断、褒められたものではない。昔の証券会社にはびこっていた、顧客無視、ノルマ主義の悪しき営業スタイルである。それを承知であえて言えば、100人に怒鳴られ激怒され断られても、101人目に電話をかける根性は立派だ。要はその使い方を間違えたのである。何事も過ぎたるは及ばざるがごとしということである。今のゆとり世代にはわかるまい。円周率を「3」と教えるような「ゆとり教育」は、過不足の議論で言えば、「教え方が足りない」ということではない。「ゆとり教育」という愚行の行き過ぎであったのだと思う。

マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆