モトリーフール米国本社、2023年6月11日 投稿記事より

主なポイント

・マイクロソフトは、オープンAIとの提携のおかげで株価が上昇しているが、同社は単なるAI銘柄ではない
・パランティア・テクノロジーズの最近の株価急騰も、長期的な上昇余地を弱めるものではない
・年初来で株価が急騰する中、エヌビディアにはさらなる上昇余地があるのか

2023年に勢い付いたAI銘柄は、長期の投資先として有効なのか

2023年、人工知能(AI)関連銘柄は他を圧倒する勢いにあります。年初来の上昇率を見て、今から買っても遅すぎると思っている投資家もいるのではないでしょうか。

以下では、マイクロソフト、パランティア・テクノロジーズ、エヌビディアのAI関連3銘柄について、買い時なのか、売り時なのか、あるいは買い持ちしておくべきなのか、検討してみます。

マイクロソフト[MSFT]:大きな話題となったオープンAIとの提携は既に結実

マイクロソフトの株価は年初来で35%上昇しており、S&P500指数やNYダウといった主要株価指数のプラスリターンに大きく貢献しています。

同社は、ChatGPTやGPT-4を開発したオープンAIとの提携が大きな話題となり、株価も好調です。しかし、マイクロソフトをめぐっては、2023年に入ってさらに上向いている驚異的なファンダメンタルズを無視してはいけません。

マイクロソフトの2023年1~3月期の売上高は530億ドルとなり、市場が予想していた510億ドルを大幅に上回りました。さらに、1株当たり利益(EPS)は前年同期比10%増の2.45ドルとなり、市場予想を0.20ドル超上回りました。

当然のことながら、経営陣は1~3月期の好業績の理由について、AIの台頭と、オープンAIとの関係を挙げています。その上、AIの波が今後もビジネス界を席巻し続ければ、マイクロソフトはその恩恵を受けることができる、と経営陣は強気の姿勢でいます。

「Azure OpenAI Service」の顧客は既に2,500社を超えるほか、3万6,000に上る組織が同社の「Power Platform」を通じてAIが搭載された機能を活用しています。

実際のところ、マイクロソフトには多様な事業セグメントがあり、単なるAI企業ではないことは明らかです。AIアプリケーションの急速な普及がマイクロソフトの追い風となることは間違いありませんが、同社の成功はAIだけに依存しているわけではありません。そのため、マイクロソフト株は既に急騰しているとはいえ、今からでも買う価値は十分にあると思われます。

パランティア・テクノロジーズ[PLTR]:年初来で137%上昇、さらなる上昇余地があるAIイノベーター

エッセイを書いたり画像を作成したりできるAIが世の中でもてはやされる一方で、パランティア・テクノロジーズが提供しているのは、国や企業を動かすAIです。同社は政府向け「Gotham」と民間企業向け「Foundry」に、データ分析を支援し意思決定を向上させるためのソフトウェアプラットフォームを提供しています。最近では、AIに完全に依拠した3つ目のプラットフォーム「AIP(人工知能プラットフォーム)」をリリースしました。顧客はこのプラットフォーム上で、大規模言語モデルなどのAIを安全に使用することができます。

パランティアの株価は、2023年第1四半期決算を受けて急上昇しています。GAAPベースの利益が2四半期連続で黒字を達成したことに加え、もっと重要なこととして、アレックス・カープCEOは、年内は(そしてそれ以降も)四半期ベースで黒字が続くとの見通しを明らかにしました。つまり、売上高の成長が続き、しかも売上高の伸びが経費の伸びを上回ることで、利益成長の加速が見込まれるということです。

将来の成長は、新規顧客の獲得によってもたらされる見通しです。パランティアの第1四半期末時点の顧客数は、前年同期比41%増となりました。政府向け事業も引き続き好調で、最近では米国特殊作戦軍から4億6300万ドルを受注しました。アナリストは、パランティアのEPSが今後3~5年で年率56%という驚異的な成長を遂げると予想しています。

確かに、この1ヶ月で株価は急騰していますが、利益の急成長によって足元のプレミアムは解消され、長期的にも着実にリターンをもたらすと思われます。株価収益率(PER)をEPS成長率で割ったPEGレシオはまだ1.3であり、今後の利益成長見通しに対してバリュエーションが妥当であることを示しています。当然ながら、株価は短期的に変動するため、投資するなら長期保有を念頭に置いて徐々に購入することをお勧めします。

エヌビディア[NVDA]:AIチップの優位性で波に乗るGPUメーカー

厳しかった2022年を経て、エヌビディアの株価は年初に付けた直近の安値から急上昇しており、年初来の上昇率は169%に達しています。

株価上昇が炸裂したのは、2023年2~4月期の決算を発表した時でした。同四半期の売上高は前年同期比13%減となりましたが、5~7月期の売上高は同64%増の110億ドルが見込まれています。AIチップの需要急増が予想されることもあり、この驚異的ガイダンスが発表された直後の取引で、株価は24%上昇しました。

エヌビディアの優位性を可能にしているのは、優れた画像処理装置(GPU)にあります。最大の収入源はデータセンター部門であり、2~4月期売上高の約60%を占めました。

データセンターは、クラウド上のAIアプリケーションやワークロードをサポートするため、AIが機能する上でエヌビディアは重要な役割を担っています。また、企業向けGPU業界で90%を超える(調査会社IDCに基づく)市場シェアも、エヌビディアの地位を一段と強固にしています。

同社が手掛けるプロフェッショナルビジュアライゼーション、自動車、ゲームの各セグメントも、AIに大きく依存しています。これらのうち、2~4月期にプラス成長となったのは自動車セグメントだけでしたが、これら3部門は、それぞれの業界におけるエヌビディアのAI能力の強化に寄与するとみられます。

さらに、調査会社プレシデンス・リサーチは、世界のAIチップ業界が2032年にかけて年率30%で成長し、市場規模は2,270億ドルに達すると予測しています。エヌビディアの圧倒的な市場シェアと、2024年1月期に430億ドルとする売上高予想に基づくと、同社の売上高は今後8年間で大きな成長が見込まれます。

これから投資しようと思っている皆さんにはお気の毒ですが、昨今の株価上昇に伴ってエヌビディアのPERは200倍近くとなっています。株価売上高倍率(PSR)も過去最高の36倍であり、2022年10月時点の10倍を大きく上回ります。これほどのバリュエーションを考えると、短期的には株価の上昇余地は小さいかもしれません。

業界における圧倒的優位性から、エヌビディアの株価が長期的に一段と上昇することは間違いないと思われます。しかし、投資するとしても、せめてPSRが10倍台になるまで待った方がよいかもしれません。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Jake Lerchは、エヌビディアの株式を保有しています。元記事の筆者Justin Popeは、記載されているどの企業の株式も保有していません。元記事の筆者Will Healyは、パランティア・テクノロジーズの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はマイクロソフト、エヌビディア、パランティア・テクノロジーズの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。