東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は米国株高と円安を受けて6日続伸となりました。338円高の30,432円で寄り付いた日経平均は取引開始から20分余りで573円高の30,667円まで上昇しましたが、朝方の買い一巡後に伸び悩むと10時過ぎに288円高の30,381円まで上げ幅を縮めました。しかし、そこから切り返し後場に入り14時20分に519円高の30,613円まで再び上げ幅を広げると結局480円高の30,573円で取引を終え年初来高値を更新しています。一方で新興株は安く東証マザーズ指数が下落となっています。
2.個別銘柄等
ソニーグループ(6758)が一時7.3%高となり年初来高値を更新しました。自己株式を除く発行済み株式総数の2.03%にあたる2500万株、2000億円を上限とした自社株買いを発表したことに加え、新規株式公開(IPO)を前提に金融子会社のソニーフィナンシャルグループを分離・独立させる方針を発表したことから上げ幅を広げました。
キヤノン(7751)も一時3.8%高となり年初来高値を更新しました。自己株式を除く発行済み株式総数の1.8%にあたる1800万株、500億円を上限とした自社株買いを発表したことで大幅高となりました。
ルネサスエレクトロニクス(6723)も一時5.6%高となり年初来高値を更新しました。2026年までに制御用半導体のマイコンの生産能力を現状と比べ1割増やすと伝わったことで収益の拡大を期待した買いが入りました。
任天堂(7974)も一時2.3%高となり年初来高値を更新しました。12日に発売した「ゼルダの伝説」最新作の世界販売本数が14日までの3日間で1000万本を超えたと発表したことから買いが優勢となりました。
また、米マイクロン・テクノロジー(MU)が日本政府から2000億円の支援を受け広島工場で次世代DRAMの生産を目指すと伝わったことから半導体製造装置関連銘柄に物色の矛先が向かいました。東京エレクトロン(8035)が一時6.4%高、SCREENホールディングス(7735)が一時4.5%高、アドバンテスト(6857)が一時9.1%高、ディスコ(6146)が一時6.4%高となり揃って年初来高値を更新したほか、レーザーテック(6920)も一時6.9%高となっています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は480円高となりました。円安に加え、米債務上限問題合意への期待から昨日の米国市場が大幅反発となったことで買いが優勢となり連日での年初来高値更新となりました。一時は570円以上上げ節目の30,500円を超えて30,600円台を付ける場面もありました。
しかし、2021年9月14日に付けたバブル崩壊後の戻り高値(30,670円)を前に伸び悩みました。そのため25日移動平均線との乖離率が5%を超えるなど短期的な過熱感が意識されるなかで明日以降も堅調な地合いを維持し、バブル崩壊後の戻り高値を超えて水準をさらに切り上げることができるかが引き続きポイントとなりそうです。
なお、日本時間の21時30分には米新規失業保険申請件数や5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数が発表されるほか、23時には4月の米中古住宅販売件数や4月の米景気先行指標総合指数が発表される予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)