モトリーフール米国本社、2023年5月14日 投稿記事より
主なポイント
・エヌビディアはGPUと呼ばれる高度な半導体チップの世界的リーダーである
・AIに本格的に取り組んでおり、顧客向けにハードウェアやソフトウェアのプラットフォームを開発している
・5つの主要業界でのAIの発展に貢献することで成長が見込まれる
AIはあらゆるところに存在している。数年後には、エヌビディアもそうなっているだろう
人工知能(AI)は、20年以上前にインターネットが誕生して以来、最も大きな技術的飛躍をもたらしていると言っても過言ではありません。しかし、多くの人にとって、AIはまだ、現実性に欠けた曖昧な言葉にすぎません。
同時に、半導体企業のエヌビディアは最もホットなAI銘柄の1つであり、AIが市場で勢いを増す中、株価は年初来でほぼ2倍に上昇しています。
それはなぜでしょうか。エヌビディアは、大量の演算処理に特化したチップであるディスクリート画像処理装置(GPU)の世界的なリーディングカンパニーです。AIは、数十億ものデータを処理するために膨大な計算能力を必要とするため、この2つは自然な組み合わせです。
AIは私たちを取り巻く世界にとって、どのような意味を持つのでしょうか。以下では、人々の日常生活に影響を及ぼし、将来的にエヌビディア製品の需要促進につながる可能性のある5つの業界を紹介します。
1.自動車
エヌビディアのDRIVEプラットフォームは、自動車メーカーが自動運転技術を開発するためのハードウェアやソフトウェアの開発ツールを提供します。エヌビディアのビジネスパイプラインは今後6年間で140億ドルの価値があり、ボルボ、メルセデス・ベンツ、Hyundai、ジャガーといった世界的な有名ブランドと提携しています。また、Nio、Xpeng、Lucid、Cruiseといった新興のスタートアップ企業の成長からも、恩恵が期待できます。
調査会社モルドール・インテリジェンスによると、自律走行車市場は、2027年にかけて年平均22%の成長が見込まれ、市場規模は約800億ドルに達する見通しです。自動運転技術が交通機関の必需品となれば、その後の成長率はもっと高くなるかもしれません。
2.ヘルスケア
科学者が遺伝子データに本格的に取り組み始めたのは、ここ数十年のことです。ヒトのDNAは、生命の成り立ちを示すロードマップのようなもので、これを理解することで、世界中の病気の治療に役立てることができます。しかし、DNAは驚くほど複雑で、人間の細胞1個に含まれるDNAを並べるだけで2マイルになります。人間1人分のDNAをすべて並べると、太陽系を2周するほどの長さになります。
DNAはデータと考えることができ、エヌビディアは、DNA情報を解析して創薬やゲノムマッピングなどを支援する上で重要な役割を果たします。同社はこの機会を捉えるために、ヘルスケアセクター向けのコンピューティング・プラットフォームであるNvidia Claraを開発しました。
3.サービス
昔の映画で繰り返し描かれてきた機械が支配する世界は、企業の世界では現実味を帯び始めています。特に、ファストフードなどのサービス業界では、人間の労働力を減らし、コストを削減するために、AIを導入し始めています。例えば、マクドナルドは最近、完全自動化の実験店舗をテキサス州にオープンしました。さらに、ウェンディーズはChatGPTを搭載したスクリーンを使って、ドライブスルーの注文を取る仕組みを導入しました。
このようなテクノロジーは、アルファベットのグーグル・クラウドやマイクロソフトのアジュールといった、エヌビディアが提携しているクラウドプラットフォーム上で作動します。IBMのCEOは先日、社内の数千人の仕事がいずれAIに取って代わられるだろうという見解を明らかにしました。こうしたトレンドは、AIがますます高度化するにつれて拡大し続ける可能性があり、投資家は注視する必要があります。
4.生成AI
ChatGPTのような言語モデルは、テクノロジーに最も直接的な影響を及ぼしてきました。このようなAI技術は、質問に対する回答を会話のように生成したり、ユーザーの入力に基づいて画像を作成したりすることができます。マイクロソフトが大幅改良した検索エンジンBingには、すでにこうした機能が搭載されています。アルファベットも検索エンジン事業という金の卵を産むガチョウを守るために、そう遠くないうちに、グーグル検索に生成AIを統合すると思われます。
今後、既存のさまざまな製品やサービスに生成AIが組み込まれる可能性があります。教育サービス企業のチェグは、現在のサービスを補完するAIツール「CheggMate」を発表しました。また、アドビなどの企業は、ユーザーがコンテンツを作成するためのクリエイティブツールの一部として、AIを活用することができます。
5.データセンター
AIは膨大な演算能力を必要とし、それはデータセンターに集約されるとみられます。エヌビディアには、企業にデータセンターをレンタルし、使用した演算能力に対して費用を請求するプラットフォームがあります。「computing-as-a-service(サービスとしてのコンピューティング)」という考え方です。さらに、資金力のある企業であれば、エヌビディアのチップを使って自社のコンピューティングリソースを構築しており、ChatGPTを開発したOpenAIもその1つで、同社はエヌビディアのGPU上で製品のトレーニングを行っています。
エヌビディアには市場リーダーシップがあり、このようなスーパーコンピューターを構築する企業にとって有力な選択肢となります。こうした企業は、AIが進歩し、より多くの演算能力が必要になるのに伴い、今後もより新しく優れたチップを必要とし続けるはずです。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。アルファベットの幹部であるSuzanne Freyは、モトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。元記事の筆者Justin Popeは、記載されているどの企業のポジションも保有していません。モトリーフール米国本社はアドビ、アルファベット、マイクロソフト、ニーオ、エヌビディアの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社はチェグの株式および以下のオプションを推奨しています。アドビの2024年1月満期の420ドルコールのロング、同2024年1月満期の430ドルコールのショート。モトリーフールは情報開示方針を定めています。