東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株安を受けて3日ぶりに反落となりました。141円安の28,478円で寄り付いた日経平均は取引開始から10分弱で223円安の28,397円まで下落した後切り返すと10時に68円安の28,551円まで持ち直しました。しかし、節目の28,500円を上回ったところでは上値が重く再び下げ幅を広げ節目の28,500円を割り込むと13時10分に300円安の28,319円まで下落しました。その後日経平均は下げ渋りましたが、28,500円を下回って推移すると結局203円安の28,416円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

アサヒグループホールディングス(2502)が一時5.3%高となり年初来高値を更新しました。傘下のアサヒビールがビールや第三のビールなどの酒類を値上げすると発表したことで収益の改善を期待した買いが入りました。清水建設(1803)も一時10.0%高となり年初来高値を更新しました。自己株式を除く発行済株式総数の4.32%にあたる3200万株、200億円を上限とした自社株買いと、消却前の発行済株式総数の5.69%にあたる自己株の消却を発表したことを好感した買いが入りました。

キヤノンマーケティングジャパン(8060)も一時5.4%高となり年初来高値を更新しました。主要ビジネス機器が製品供給の回復により増加したことなどで第1四半期の営業利益が前年同期比で3.3%増となり四半期の過去最高益を更新したことから大幅高となりました。

本決算を発表したコメリ(8218)も一時7.5%高となり年初来高値を更新しました。2024年3月期の営業利益が前期比で3.6%増となる見通しを示したことや、自己株式を除く発行済み株式総数の1.83%にあたる90万株、27億円を上限とする自社株買いを発表したことから買いを集めました。

一方で第1四半期決算を発表したシマノ(7309)が一時11.8%安となり年初来安値を更新しました。新型コロナウイルスの感染拡大下で密を避ける移動手段として人気が高まった自転車の需要減速が鮮明で、欧米を中心に主力の自転車部品の在庫が積み上がり新規受注の減少が見込まれることなどから通期の営業利益の見通しを1050億円から830億円に下方修正したことで売りが膨らみました。

本決算を発表した抵抗器大手のKOA(6999)も一時10.9%安と年初来安値を更新しました。世界的な半導体不足による自動車業界の生産制約の継続や顧客の在庫調整などを受けて2024年3月期の営業利益が前期比で34.5%減となる見通しを示したことで大幅安となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は203円安となりました。決算を発表した地銀で大規模な預金流出が明らかとなったことで昨日の米国市場が大幅下落となったことから売りが優勢となり節目の28,500円を下回りました。朝方の売り一巡後に下げ渋ると節目の28,500円を回復する場面もありましたが、28,500円を小幅に上回ったところで上値が押さえられると一時は300円安まで下げ幅を広げました。しかし、東証プライム市場の騰落レシオが昨日時点で146%を超え買われ過ぎとなっていたことからすると必要な調整だったとみることもできそうです。

なお、決算発表が本格化しています。本日も引け後には日立建機(6305)やアドバンテスト(6857)、ファナック(6954)、オムロン(6645)、日東電工(6988)、JR東海(9022)などが決算を発表する予定です。また、日本時間の21時30分には3月の米耐久財受注額が発表されるほか、26日の米国ではボーイング(BA)やフェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズ(META)などが決算発表を予定しています。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)