テスタ流「配当銘柄」を選ぶポイント

――最近は、中長期的な配当狙いの投資に注力されているそうですね。どのような理由からでしょうか。

中長期投資を始めたのは2016年頃からです。アベノミクス相場で株価が大きく上昇した2013年に資産が増え、取引する資金量が増えたことでデイトレードがしにくくなったのです。

デイトレードでは、1日あたり1円とか2円の値幅で何度も取引して、利益を重ねていきます。そのため、1日の値動きが大きく、かつ大きな資金を入れることができる銘柄を選ぶことが大切です。相場が始まる前に気配値を見て、前日の終値からの乖離が大きい銘柄ほど値動きが大きくなる傾向があるため、そういった銘柄を探して投資をしていました。

その際、ファンダメンタルズなどは考慮しません。ファンダメンタルズを見てしまうと、「業績が良さそうだから、損切りできない」などと考えてしまうからです。板情報やチャートを見て、値動きの大きい銘柄を選ぶ。そのような銘柄は小型株に多い傾向があるのですが、小型株は流動性が低いため、たくさん資金があっても買いたい量を買えなかったり、売りたい量を売れなかったりすることがあります。

また、投資で増えた資金を投資に回すことで、効率的に資金を増やすことができます。ところが、デイトレードだけでは資金が余るようになってしまったのです。かといって、大型株に投資しても、値動きが小さく、デイトレードではあまり利益が得られません。そこで、他の方法に目を向ける必要があると考えるようになり、配当狙いの投資を始めました。

――配当狙いの銘柄は、どのように選んでいますか。

安定的に配当を出している、配当利回りの高い銘柄を選んで保有しています。減配したり、大きく値下がりしない限りは保有し続けるつもりです。

特定の業種の銘柄だけを持ってしまうと、その業界の業績を左右する出来事が起きた場合に株価が大きく下がる可能性があるので、1つの業種は3銘柄程度に絞って保有し、ポートフォリオ全体の資産規模が大きくブレないように工夫しています。

――デイトレードと配当狙いでは、銘柄の選び方が異なるのですね。

まったく違います。デイトレード銘柄と配当狙いの銘柄では、完全に脳を分けて考えています。

デイトレードだけをやっていた時には、朝起きると、その日にトレードする銘柄を頭のなかで探していました。ですが、配当狙いの銘柄には、それが一切ありません。基本的には、保有銘柄について何か問題が起きていないかを確認しつつ、新たに投資できる銘柄はないかを探しています。

今年は値上がり益を狙える局面

――今後、配当狙いの投資を増やす予定ですか。

そういうわけではありませんが、不労所得に憧れていたこともあり、「もし、自分が投資をやめたときには配当金で生活しよう」と考えています。

また、中長期投資では、配当狙いの“守る投資”のほかに、中長期で値上がり益を狙う投資もしています。その時々の資産額や相場環境などに応じて、資産全体に占める配当銘柄の配分を変えたりもします。

配当狙いの銘柄は、不動産に投資すると賃料収入が得られるのと同じようなものです。売ることを前提としていないので、信用取引の原資にします。あとは、値上がり益を狙う銘柄を買ったりしています。

――年間どのくらい配当金を得ていますか。

2022年の年間配当金額は1億5000万円超です。配当利回りが5%だとすると、1億円の配当金をもらうには、20億円の資産が配当狙いの現物株に入っている必要があります。ただ、今年は値上がり益を狙える局面だと考えているので、配当狙いの銘柄を30億円ほど保有しています。

――今年は値上がり益を狙えると思う理由を教えてください。

東証がPBR(株価純資産倍率)1倍未満の上場企業などに改善を求めていることに対し、企業は応えつつあると見ています。そういった観点から例年よりバリュー株を中心に期待を持てるのではないかと考えています。

休日よりも取引できる平日が楽しい!

――先日、年収800万円程までは年収に連動して幸福度も上がるものの、それ以降は幸福度の上昇ペースが鈍化するということが報じられていました。テスタさんは、資産額と幸福度に相関性はあると思いますか?

お金があるから幸せだとは思いません。お金をたくさん持っていても不幸な人はいるし、お金がなくても楽しく生きている人もいます。私もお金がなくなっても楽しめる自信があります。幸福度は、気持ちの持ち方で変わるのだと思います。

――確かに、テスタさんは人生を楽しんでいらっしゃるように感じます。

株式投資が楽しいからじゃないでしょうか。もちろん、株式投資に対するモチベーションは下がる時もあります。それでも、休日よりも取引ができる平日のほうが楽しい。プレッシャーを感じることはあっても、ずっと楽しく戦っています。

――株式投資は、どんなところが楽しいですか?

うまくいかないことのほうが多いことじゃないでしょうか(苦笑)。株式投資を深く研究して、わかった気になっていても、思ったことと逆のことが起こることがあります。そのたびに、何がダメだったのかを追求していくと新たな発見がある。それを次に活かしてうまくいったときの喜びは大きい。奥が深く、いつまでたっても極められない。それが株式投資のやりがいであり、楽しさでもあります。

人生で一番楽しい瞬間は、「過去最高」を出したときです。月間最高記録や年間最高記録を更新することは、過去の自分を超える成長をしていること。「この歳になっても、まだ成長できている」と思える、その瞬間が何より楽しいですね。

――取引を休む日もありますか?

休むことはありません。平日はすべて取引しています。とはいえ、友人などと海外旅行へ行くときには、取引を休みます。自分だけ取引していたら、一緒に旅行している相手に迷惑をかけてしまいますから…。パソコンを持っていると取引したくなりそうなので、旅行のときはパソコンを持って行かないようにしていますね。

――取引時間以外に株式投資のことを考えることはありますか。

常に株のことを考えています。ご飯食べている時も、歩いている時も、明日の株の取引を考えたりしていますね。100%株のことを忘れて他の事に没頭することは、ほとんどないです。例えば漫画を読んでいても、いつの間にか投資のことを考えてしまって2ページぐらい戻る…といったこともよくあります(笑)。

また、頻繁に株式投資に関する夢を見ます。例えば保有銘柄の決算が出る時など大事な局面では、いまだに緊張しますので、眠れなかったり、眠っていても取引している夢を見ますね。

――株式投資で損をして落ち込んだりしませんか。

取引で負けた日に友だちとご飯を食べに行って、いつもよりテンションが低いというようなことはあるかもしれません。でも、経験を重ねてきたことで、今は少々のことでは動じなくなっていると思います。

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写真:竹井 俊晴
※本インタビューは2023年3月28日に実施しました。
※本内容は、個人の経験に基づく見解であり、当社の意見を表明するものではありません。
※投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようにお願いいたします。