米国株はお守りのような存在

――米国株も少し保有されているそうですが、米国株に投資しようと思ったきっかけを教えてください。

米国株に投資したのは、円建ての資産しか持っていないことに対する危機感があったからです。万が一、日本に何かが起きたときに備え、円資産に対するヘッジとして、一般的に生涯賃金とされる2億円分だけでもドル資産を持ったほうがいいと考えました。

取引したのはコロナショック時を含め3回ほどですが、現在では3億円くらいに増えています。また〇〇ショックと呼ばれるような暴落が訪れたら、1~2億円程度足すと思いますが、それ以外で売買することはないですね。私にとって米国株はお守りのような存在です。

――米国株はどんな銘柄をお持ちですか?

米国株は売却する予定がないので、安定感を重視しています。スターバックス(SBUX)やアマゾン・ドットコム(AMZN)、ウォルト・ディズニー(DIS)、ナイキ(NKE)など、誰もが名前を知っている大型株で、業界のトップ企業を11銘柄保有しています。

2年連続で年間収益がマイナスになったら引退

――トレーダーとしての限界を感じたことはありますか。

人間の体力や集中力などは、必ずピークがあります。そういった面で言うと、私はすでにピークを超えていると思います。しかし、知識や経験は伸ばし続けられる。知識や経験が体力や集中力の低下を補えれば、今後も自分の過去最高を更新できるはずだと考えています。

これまで18年間、年間収益がマイナスだったことはありません。ですが、いつかは勝てないときが来るかもしれない。相場環境があまりに悪いからなのか、自分の力が通用しないからなのかはわかりませんが、2年連続で年間収益がマイナスになったら、投資をやめようと決めています。


 
2年連続でマイナスになるというのは、自分が間違っているか、自分の力が通用していない証拠だと思います。そのまま続けても、勝つことはできないでしょう。配当銘柄や米国株は資産として残すかもしれませんが、値上がり益を狙う中長期トレードやデイトレードはやめるつもりです。

支援活動が投資のモチベーションに

――築いた資産は、将来どのように活用される予定ですか。

自分のことに使うよりも、寄附のかたちで何かのために役に立てたいと考えています。自分が何十億円、何百億円の資産を持っていたとしても、寄附をしたら1日で使いきれる。いくらあっても困ることはありません。そう考えるとお金を増やす意義はある。寄附できるお金が増えれば、助かる人も増えるでしょう。そう考えると、投資でお金を増やすモチベーションが沸いてきます。

児童養護施設や保護猫施設を継続的に支援しています。今後は、資金に余裕のある範囲で、スポンサーとして自分の好きなジャンルの業界を支援したいと考えています。私はコロナ禍で、日本のエンタメ業界やスポーツ業界の大切さを痛感しました。そういった業界のイベントや新規事業の立ち上げにおいて、お金の面で支援できればと思っています。

――寄附や支援活動をするモチベーションは?

私は専業投資家なので、仕事を通じて誰かから感謝される機会がありません。でも、このような支援をすることで喜んでもらえる。支援活動は、誰かに与えているようで、実は、自分が与えられているのだと感じています。

――テスタさんがお顔や資産額を隠さずに活動されているのはなぜでしょうか。

私は人前に出るのが得意ではないので、最初は顔を出したくなかったのです。ところが、あるメディアの取材の際に「サングラスをかけて登場するなら…」と受けたところ、写真を見たらサングラスが透けて顔がはっきり写っていた。ビックリしましたが、顔が知られたことで、オフ会などでも話しかけてくれる人が増えました。私がテスタだと分かることが、相手に対して安心感を与えるのかもしれません。

顔を出して様々な媒体に露出することは、信頼にもつながっているように思います。会いたい人に警戒されることなく会えるようになり、いろいろなジャンルの人とのつながりができました。振り返ってみると、株式投資をやっているだけではできなかった経験をたくさんさせてもらっていますね。

――資産が増えたことで、周囲の自分に対する見方に変化はありましたか。

家族が公務員で私だけ定職に就いていないので、顔を合わせるたびに親から「早く安定した職に就きなさい」と言われていました。でも、テレビや雑誌などメディアに出るようになってから、親も私が株式投資で生活できていると理解してくれたようです。最初は心配をかけたと思うので、今は親孝行するつもりで一緒に旅行したり、3ヶ月に1度は帰省したりしています。

――学校などでの金融教育活動にも取り組んでいらっしゃいますね。

投資に関する知識があれば、投資詐欺にひっかからないと思うんです。その意味でも教育は大切です。東大や早稲田大学などで講演することもあれば、小学校や中学校、高校で話をすることもあります。

ただ、大学の投資サークルなどで話をするのと、小学校や中学校で話をするのは、かなり違います。投資サークルではかなり実践的な話をしますが、小学校や中学校では、「将来どんな職業についたとしても、社会で生きていく上で、お金が必要なんだよ」ということを話し、お金について学ぶことの重要性を伝えるようにしています。

――最後に、これから投資を始める方々へのアドバイスをお願いします。

政府・日銀は、2%の物価上昇目標を掲げています。それは物価が10年で20%上がる可能性があるということです。その一方で預貯金にほぼ金利がつかない状況が続いています。貯金が1000万円あっても物価が10年で20%上がったら、実質的な価値は800万円になってしまいます。これでは、老後2000万円問題に対応できないでしょう。

2024年からはNISAの生涯非課税限度枠が1800万円まで拡充される予定です。ここには、そこまでの資産は自己責任で準備してほしいという政府からのメッセージが込められているのではないでしょうか。それをしっかり考える必要があると思います。

株式投資をするには、もちろん勉強が必要です。勉強方法には、本を読む、YouTubeを観る、ツイッターを活用するなどいろいろな方法がありますが、ご自身に合ったものを選ぶことが大切です。あとはやるかやらないかだけです。

私の場合は、毎日チャートや板情報を見ています。日本の上場企業は3,600社余りありますが、毎日株価が動く銘柄は400~500銘柄程度ですから、30分くらいで全部見ることができます。それを続けることで分かってくることがある。

他の投資家のSNSを見ることも勉強になります。ただし、ものすごく儲かっている人のSNSだけを見ていても意味がない。自分より少しうまい人や、負け続けている人のSNSを毎日見ることで、勝っている人の共通点や負けている人の特徴、勝っている人との違いが分かります。

繰り返しになりますが、資産を現金だけにしないほうがよいと思います。物価上昇に伴い現金の価値が目減りしてしまうからです。これからは投資が当たり前のものになっていくでしょう。今から勉強すれば、明るい未来が開けると思います。

――本日は、長い時間ありがとうございました。

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写真:竹井 俊晴
※本インタビューは2023年3月28日に実施しました。
※本内容は、個人の経験に基づく見解であり、当社の意見を表明するものではありません。
※投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようにお願いいたします。