2022年に年間で11億円超の収益をあげたカリスマトレーダーのテスタさん。常に過去の自分と戦い、自己ベストを更新し続けるテスタさんに、勝ち続ける秘訣、配当狙いの投資戦略、これから投資を始める人へのアドバイスなどをうかがいました。

●テスタさんプロフィール●
専業投資家。2005年に300万円を証券口座に入金して株式投資をスタート。以来18年間リターンがマイナスになった年はない。初期はスキャルピングやデイトレードを中心に取引を行い、2016年からは中長期投資も行う。累計利益は70億円を超え、年間配当金総額は1.5億円超。2014年からは全国の児童養護施設への寄附を継続的に行っている。Twitterのフォロワー数は55万人超(2023年4月現在)。

毎日300本ブログを読んで投資を勉強

――テスタさんがデイトレーダーになったきっかけを教えてください。

2005年に株式投資を始めて、今年で19年目になります。きっかけは、書店で株式投資関連の書籍に出会ったことです。インターネットで取引ができるようになって数年が経ち、デイトレードという言葉が世間に定着してきた頃でした。

株式投資をする人の多くは「効率よく儲けたい」と考えているのではないかと思います。当時、東証の取引時間は朝9時から1時間半の休憩を挟んで午後3時までだったので、実働は4時間半。家でトレードできれば、移動の必要もありません。私は、学生時代、通学に往復1時間かかることも「時間がもったいない」と感じていましたから、「株式投資で生活できるなら…」と思って始めてみました。

――投資を始めた頃、どのように勉強されましたか。

当時SNSはまだ流行っておらずブログが主流でしたから、いろいろなトレーダーがブログで情報を発信していました。毎日、300本くらいの記事を読んでいたと思います。人によって相場で起きたことの感じ方も、得ている収益も、成長の過程も違っていて、それぞれの物語がある。それを読むのが楽しかったのです。

――毎日300本とは…凄いですね。その中で、どのようなブログが参考になりましたか。

「投資のカリスマ」と呼ばれる億トレーダーのブログも読んでいましたが、一番参考になったのは資産3000万円程度で収支にブレがない方のブログでした。その方がデイトレードのなかでも特に時間軸の動きが短く、想定外の値動きに巻き込まれにくいスキャルピング(短時間に売買を繰り返して利益を積み重ねるトレード手法)で投資をしていたのです。私もその方のように毎月100万円の利益を安定的に獲得したいと思い、スキャルピングを選びました。

100種類以上の手法を相場に合わせて使い分ける

――テスタさんは、投資を始めて以来リターンがマイナスになった年がないそうですが、勝ち続ける秘訣はありますか。

投資初心者のなかには、1つの手法があれば勝ち続けられると思っている人がいるようですが、そうではありません。私は100種類以上の投資手法を持っていると思います。その時その時の相場に適した手法を選んで取引することが大切です。

スキャルピングは数秒から数分程度の短い時間に売買を繰り返して利益を積み重ねるトレード手法ですから、瞬時にどの手法を使うかを判断しないと間に合いません。「危ない」と思ったら、反射的にロスカットしないといけない。考えているヒマはありません。訓練して、瞬時に反射的に動く必要があるでしょう。

 
――テスタさんは、もともと反射的に動く能力が高かったのでしょうか。

小学生の頃からずっとゲームをやっていて、中学ぐらいから対戦格闘ゲームの勝ち方を研究していました。もしかすると、それがトレードに活きているのかもしれませんね。

――誰でも勉強すれば投資はうまくなるものですか。

私も始めからうまくいったわけではありません。最初の2ヶ月は収支がマイナスでした。4ヶ月でようやくプラスになり、生活費をまかなえるようになるまでには半年以上かかりました。稼げるようになるまでは、体調が悪いわけでもないのに、毎朝、吐いていましたね。勝てるようになってからは吐かなくなったので、相当ストレスを感じていたのかもしれません。でも、トレードは楽しかったし、希望を持っていました。

野球に例えれば、初日から上手に投げたり、打ったりできる人はいないでしょう。練習を積み重ねて上手になる。ところが、多くの場合、上手くなる前に「向いていない」と思って諦めてしまいます。それではもったいない。投資も同じです。一度、受験勉強くらい真剣にやってみる。それでも向いていないと感じるなら、例えばインデックスファンドを積み立てるという選択肢もあると思います。

「お金のため」ではなく「過去最高」の成績を上げるために

――株式投資をしていて一番嬉しかったことは何でしょうか?

資産総額が1億円になったときが一番嬉しかったですね。デイトレードを始めて、6年目のことです。

株式投資を始めた頃は、資産が1億円に達成するとは考えていませんでした。でも、資産総額が9000万円になったときに「1億円になるのではないか」と思えた。単位が「万円」から「億円」に変わるところに区切りがあるといいますか…。1億円に達成する数日前から1円単位で「あともう少しだ」と思って計算していたのを覚えています。

――2億円、3億円を達成した時はいかがですか。

私もそうですが、多くの方が1億円を達成するまで苦労している分、「1億円超えたら、次は、2億円、3億円…」と簡単にイメージできないと思います。ただ、私の場合ちょうど1億円を達成した頃にアベノミクス相場の追い風もあり、翌年には年間の利益が5億円になりました。ですので、2億円、3億円を達成した時の記憶はあまり残っていないですね。

――1億円を達成してから資産が増えるスピードも速くなったのですね。

はい。私が株式投資を始めた翌年にライブドアショックが起こり、以降、日本株は相場環境がいいとは言えない状態が続いていました。それでも、「いつかきっと、いい相場が来る。その時に全身全霊をかけて取引できる準備をしておこう」と決めていました。

2013年にようやく「その時」が来た。「ここは人生のターニングポイントだ。決して手を抜いてはいけない」と考え、トレードに徹しました。遊ぶヒマもなかったので、毎日の出費はコンビニのお弁当の500円程度。だからこそ、資産が増えたのだと思います。 


――株式投資を続けるモチベーションはどこにあるのでしょうか。

実は、2013年に資産が5億円増えたことで、投資に対するモチベーションが一気に下がりました。それまでは、生活費を稼ぐため、生きるために投資をしていました。1億円達成したときは嬉しかったのですが、それでは2億円ともいわれる生涯年収に足りない。3億円くらないと安心できないと思って、投資を続けていました。

ところがアベノミクス相場の恩恵もあり1年で5億円稼ぐことができました。「一生暮らせるお金は稼いだ。もう、やめたほうがいいのではないか」とも思いました。でも、過去の経験から投資を続ければ、資産が増える確率は高いこともわかっています。それで、自分を追い込むために環境を変えようと考え、関西で住んでいた家賃20万円の物件を引き払い、東京の家賃100万円の物件に引っ越すことにしました。ここまで家賃が高かったら、もっと投資を頑張らないと、すぐにお金がなくなってしまいますから…。

いまはお金のために投資をしているわけではありません。「過去最高」の成績を上げるために投資をしている。自分との戦いです。

>> >>【中編】年間配当額1.5億円超!テスタ氏が明かす配当狙いの投資術

写真:竹井 俊晴
※本インタビューは2023年3月28日に実施しました。
※本内容は、個人の経験に基づく見解であり、当社の意見を表明するものではありません。
※投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようにお願いいたします。