東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は続落となりました。5円高の27,690円で寄り付いた日経平均は直後に33円高の27,719円を付けた後伸び悩むとマイナスに転じ9時30分過ぎに226円安の27,458円まで下落しましたが、節目の27,500円を小幅に割り込んだところで下げ渋るとやや持ち直し142円安の27,543円で前場を終えました。138円安の27,546円でスタートした後場の日経平均は27,500円台での推移が続きましたが、引けにかけて下げ幅を縮めると結局79円安の27,606円と後場の高値で取引を終えています。一方でTOPIXが小幅に上昇となったほか、新興株も高く東証マザーズ指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

メルカリ(4385)が一時8.3%高となりました。国内のフリマや金融事業が売り上げを伸ばしたうえ、国内外で広告宣伝費などの投資を抑制したことなどから上期の営業損益が58億円を超す黒字となり、前年同期の18億円近い赤字から黒字転換したことで買いを集めました。第3四半期決算を発表したゴールドウィン(8111)も一時7.5%高となり昨年来高値を更新しました。インバウンド需要の回復で「ザ・ノース・フェイス」などの高価格帯の商品が伸びていることなどから通期の営業利益の見通しを170億円から203億円に上方修正したことで大幅高となりました。ニチレイ(2871)も6.2%高となりました。第3四半期9ヶ月間累計の営業利益は前年同期比で1.8%減となりましたが、第3四半期3ヶ月間の営業利益が前年同期比で8.8%増と増益に転じたことを好感した買いが入りました。

一方で第3四半期決算を発表した任天堂(7974)が7.5%安となりました。主力ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の販売台数が1800万台と従来計画を100万台下回ることや、ソフト販売も2億500万本と500万本下振れすることなどから通期の営業利益の見通しを5000億円から4800億円に下方修正したことで売りが膨らみました。ソフトバンクグループ(9984)も5.1%安となり、日経平均を1銘柄で65円押し下げました。人工知能(AI)関連の新興企業に投資するビジョン・ファンドの苦戦が続いたことなどから第3四半期3ヶ月間の最終損益が7834億円を超す赤字となり、2四半期ぶりに赤字となったことで売りがかさみました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は79円安となりました。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長がインタビューでディスインフレのプロセスが始まったとの認識を改めて示したことで昨日の米国市場が反発となったことから買いが先行しましたが、円高が重石となるなか伸び悩むと売りが優勢となりました。しかし、節目の27,500円を小幅に割り込んだところでは下げ渋りました。そのため続落となったものの底堅かったといえそうで、堅調な地合いは維持しているといえそうです。なお、決算発表が本格化しています。本日も引け後にはディー・エヌ・エー(2432)や富士フイルムホールディングス(4901)、住友金属鉱山(5713)などが決算を発表する予定です。また、明日は取引時間中の13時25分にトヨタ(7203)が決算を発表する予定で注目を集めそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)