東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は米国株高を受けて小幅に反発となりました。65円高の27,428円で寄り付いた日経平均は取引開始から5分で89円高の27,452円まで上昇しましたが、朝方の買い一巡後に上げ幅を縮めると10時過ぎにマイナスに転じ10時20分過ぎに35円安の27,326円まで下落しました。しかし、下げ渋るとやや持ち直し18円高の27,381円で前場を終えました。39円高の27,402円でスタートした後場の日経平均は13時前に12円安の27,349円を付けるなどマイナスとなる場面もありましたが、概ね小幅高で推移すると結局19円高の27,382円で取引を終えています。一方で新興株は安く東証マザーズ指数が下落となっています。
2.個別銘柄等
第3四半期決算を発表した信越化学工業(4063)が4.1%高となりました。主力の塩化ビニール樹脂を手掛ける生活環境基盤材料事業を中心に好調な推移が見込まれることなどから通期の営業利益の見通しを9400億円から市場予想を上回る9950億円に上方修正したことや、1株を5株にする株式分割を発表したこともあり大幅高となりました。北海道電力(9509)も2.9%高となりました。石炭や液化天然ガス(LNG)が高騰していることなどから平均で34.87%の家庭向け規制料金の引き上げを経済産業省に申請したことから業績の改善を期待した買いが入りました。また、目標株価の引き上げを受けて買われたのがわらべや日洋ホールディングス(2918)や安川電機(6506)で、わらべや日洋ホールディングスが一時2.9%高となり、安川電機も3.7%高となりました。
一方で富士電機(6504)が一時4.5%安となりました。第3四半期9ヶ月間累計の営業利益は前年同期比で29.9%増となりましたが、原材料高に加え、マレーシア工場の生産体制を撤退したディスク媒体からパワー半導体へ切り替える費用が発生したことなどもあり第3四半期3ヶ月間の営業利益が前年同期比で4.0%の減益となったことで売りが優勢となりました。同じく第3四半期決算を発表した小糸製作所(7276)も一時5.5%安となりました。半導体不足などで自動車の減産が続き日本や中国の出荷が減ったことなどから通期の営業利益の見通しを535億円から470億円に下方修正し一転して減益予想となったことで下げ幅を広げる場面がありました。
しかし、朝方の売り一巡後に持ち直すと小幅に上げて取引を終えています。さらに投資判断と目標株価の引き下げを受けて日本郵船(9101)と商船三井(9104)が安く、日本郵船が3.9%安、商船三井も3.7%安となり、川崎汽船(9107)も海運業界の投資判断の引き下げを受けて3.1%安となっています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は19円高となりました。米GDPが市場予想を上回り米経済のソフトランディングへの期待が高まったことなどで昨日の米国市場が上昇となったことから買いが優勢となりました。しかし、節目の27,500円を前に上値が押さえられるとマイナスとなるなど伸び悩みました。そのため昨日に続いて27,500円近辺での上値の重さが意識されそうで、来週は一段と本格化する決算発表などを支えに27,500円を超えてさらに戻りを試せるかがポイントとなりそうです。なお、本日も引け後には日立建機(6305)やファナック(6954)などが決算を発表する予定です。
また、日本時間の22時30分には12月の米個人所得と個人消費支出(PCE)が発表されるうえ、28日午前0時には1月の米ミシガン大学消費者態度指数確定値が発表される予定です。さらに27日の米国ではアメリカン・エキスプレス(AXP)やシェブロン(CVX)などの決算発表が予定されています。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)