モトリーフール米国本社、2023年1月17日 投稿記事より

主なポイント

・株価指数先物は1月17日朝の時間外取引で、わずかに下落
・ゴールドマン・サックスの株価は、期待外れとなった第4四半期決算を受けて大幅下落
・モルガン・スタンレーは、マクロ経済の圧力にもよく持ちこたえている

ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーの決算内容は明暗が分かれ、事態は複雑な様相を呈している

1月の株価は堅調なスタートを切り、主要株価指数は大幅に上昇して2023年の幕を開けました。ところが、1月16日のキング牧師記念日の祝日が開けた途端、投資家は市場に対する前週までの熱を失ってしまったようです。1月17日朝、午前の取引が始まる前の時間外取引で、株価指数先物は概ね0.25%ほど下落しました。

投資家が心待ちにしていた決算シーズンが始まり、多くの銀行がいち早く2022年第4四半期決算を発表しました。投資銀行大手のゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーは、新年を迎えて同じようなトレンドに直面していますが、両行の株価は1月17日午前に、真逆の方向に進みました。株式市場全体について両行は何を語り、投資家はどのような結論を下したのでしょうか。

予想を下回ったゴールドマン・サックス

ゴールドマン・サックスの株価は、1月17日朝の時間外取引で3%近く下落しました。同社が発表した第4四半期業績は精彩を欠き、ウォール街の状況が2021年と2022年で様変わりしたことが如実に示されました。

決算内容を見ると現在の環境がよく分かります。第4四半期の純収入は、前年同期比16%減の105億9000万ドルでした。2022年通年の収入は前年比20%減の473億7000万ドルとなり、会社側は資産運用・ウェルスマネジメント部門とグローバルバンキングならびにマーケット部門の業績悪化を理由に挙げました。利益の落ち込み幅はさらに大きく、第4四半期の1株当たり利益(EPS)は69%減の3.32ドル、通期利益は半分まで減少しました。

決算発表では明るい内容もいくつかありました。件数が大幅に減ったとはいえ、M&A活動の年間ランキングではトップに立ちました。また、資産運用・ウェルスマネジメント部門が得た運用手数料などの手数料収入は過去最高を記録し、2022年末時点の運用資産残高は過去最高水準の2兆5500億ドルに達しました。

企業側は、戦略的事業再編によって中核事業の収益が増加するだろうと楽観視しています。経済環境による圧力が続いたとしても、ゴールドマン・サックスのブランド力と競争優位性が、長期的に大きな結果につながるはずだと同社は考えています。

予想を上回ったモルガン・スタンレー

モルガン・スタンレーの株価は、1月17日朝の時間外取引で約2%上昇しました。同社も業界を取り巻く厳しい環境から圧力を受けているにもかかわらず、第4四半期業績は大方の予想を上回りました。

同社も第4四半期と通年の両方で減収減益となりましたが、落ち込み幅はゴールドマン・サックスほどではありませんでした。第4四半期の純収入は12%減の127億5000万ドル、EPSは37%減の1.26ドルとなり、2022年通年の収入は10%減、純利益は27%減となりました。

モルガン・スタンレーの場合、部門によって業績にばらつきが見られました。ウェルスマネジメント部門は、市場の下落によって手数料ベースの資産価値が減少したにもかかわらず、増収を維持しました。一方で、機関投資家向け証券部門では、株式および投資銀行業務で予想通りに大きな打撃を受けましたが、債券がよく持ちこたえて、他の損失をカバーしました。

多くの投資家は、モルガン・スタンレーが多くの同業他社と比べて力強い2023年の業績を上げる公算が大きいとみています。このまま上昇相場が続けば、1月17日朝に見られたモルガン・スタンレー株の上昇は、長期的な株価上昇の始まりにすぎないかもしれません。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Dan Caplingerは、記載されているどの企業のポジションも保有していません。モトリーフール米国本社はゴールドマン・サックス・グループの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。