モトリーフール米国本社、 2022年12月3日 投稿記事より

主なポイント

・2022年は多くの優良銘柄の株価が下落し、割安になっている
・同時に、これらの企業は長期的見通しも明るい

堅実な5銘柄

弱気相場は、投資に適した時期とは思えないかもしれませんが、実は、株を買うのに最適な時期の1つです。なぜなら、以前は割高だった株価を安く買うことができる可能性があるからです。市場をリードする企業や有名企業も例外ではありません。

弱気相場は永遠には続きません。そのため、こうした堅実な企業は、株価が反発し急騰する可能性もあります。つまり、今こそ、長期的にポートフォリオを引き上げてくれる可能性のある企業について調べてみるタイミングだということです。現在割安だと考えられる5銘柄を見てみましょう。

アマゾン・ドットコム

Eコマースとクラウドコンピューティングの巨人であるアマゾン・ドットコムは、2022年に苦戦を強いられています。営業利益は各四半期比で減少し、フリーキャッシュフローはマイナスとなっています。インフレ率の上昇によって自社のコストが増加し、さらに顧客の財布の紐が固くなっていることが原因です。

現在、同社を取り巻く状況は良好ではありません。しかし、これはあくまでも「現在」の話であり、長期的見通しは依然として光り輝いています。Eコマース市場とクラウドコンピューティング市場は、2020年代は2桁の成長が続くと見込まれています。両市場のリーダーであるアマゾン・ドットコムは恩恵を受けることになるでしょう。

また、アマゾン・ドットコムにとって、現在の苦境はコスト構造を見直すきっかけとなっています。これは、将来的に良い結果をもたらすでしょう。同社は投資の中心を、クラウドコンピューティング事業のアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)にシフトしています。AWSは営業利益と売上高が2桁のペースで成長しています。

Eコマース事業では今秋、米国のプライム会員数が過去最高を更新しました。これもまた、将来に対する良い兆候です。

アマゾン・ドットコムの株価売上高倍率(PSR)は、2015年以降で最低の水準となっています。長期的に見れば、驚くほど割安です。

ウォルト・ディズニー

エンターテインメント大手のウォルト・ディズニーは、大きな転換期を迎えています。テーマパークを運営するパークス・エクスペリエンス・プロダクツ事業は成長しています。ストリーミングサービスの会員数は急増しており、2022年だけで5,700万人増加しています。一方で、同社はコストの増加に直面しています。株価は年初来で36%下落しています。

しかし、明るいニュースもあります。長年CEOを務めたボブ・アイガー氏がCEOに復帰しました。同氏はピクサーやマーベルの買収といった成功の立役者であり、大ヒット映画『アナと雪の女王』が生まれたのもアイガーCEOの時代です。

アイガー氏には、ウォルト・ディズニーを成長させた実績があります。前回のCEO在任中に、同社の時価総額、売上高、利益は3桁の成長を見せました。つまり、アイガー氏は、ウォルト・ディズニーを正しい軌道に戻すのに最適な人物であるということです。

テーマパーク事業の好調も好材料です。昨年度(2022年9月期)の部門売上高は前年比で73%増加しました。同事業はこれまで、全社の売上高に最も大きく貢献しています。

ウォルト・ディズニーの予想株価収益率(PER)は、2022年初めと比べて半分近くまで低下しています。同社の回復に乗じるなら今がチャンスかもしれません。

エッツィ

エッツィの株価は、新型コロナウイルスのパンデミックの初期に急騰しました。人々が店頭での買い物からオンラインショッピングに移行したためです。同社は、ハンドメイド製品の売り手と買い手を結び付けるプラットフォームを運営しています。

その後、エッツィの成長は鈍化し、株価は年初来で36%下落しています。とはいえ、他の小売企業に比べると、景気の嵐をうまく切り抜けています。売り手は中小企業が中心であるため、サプライチェーン問題や在庫懸念といった事柄はあまり問題になりません。

プラットフォーム上の流通総額(GMS)は、2022年第3四半期に前年同期比で0.2%増加しました。これは、為替の影響を考慮していません。パンデミック前の2019年第3四半期と比較すると134%増加しています。

同社はまた、顧客の拡大と定着でも大きな成果を上げています。第3四半期のGMSのうち、46%を常連顧客が占めました。そして同期間の新規顧客は600万人でした。

現在の予想PERは33倍であり、今年初めの60倍超から低下しています。エッツィの収益力や顧客のロイヤリティを鑑みると、将来の見通しは良好です。つまり、足元の株価は極めて割安と言えます。

インテューイティブ・サージカル

インテューイティブ・サージカルは、ロボット手術の世界的リーダーとして圧倒的強さを誇っています。BISリサーチによると、同社は80%近い市場シェアを握っています。そして以下の2つの理由から、この強さは今後も続くと思われます。

第1に、手術用ロボットは100万ドル超と高額であるため、一度投資をした病院は、簡単に他に乗り換えないでしょう。第2に、外科医の多くは同社の旗艦システムである「ダビンチ」システムのトレーニングを受けているため、使い慣れたシステムから、全く新しいシステムに切り替えることに前向きではないと思われます。

さらに好材料を挙げると、同社の収益モデルはロボットの販売だけに依存しておらず、経常的な収入源もあります。しかも、その経常的売上は、ロボットの売上を上回っているのです。具体的には、手術のたびに外科医が必要とする器具や付属品などの売上です。

現在の株価は、こうした優れたビジネスモデルを反映していません。株価は年初来で23%下落しています。パンデミックの期間中は、病院が手術を延期したため、繰り返し苦境に見舞われました。病院側が器具を必要としなかったからです。また、新しいロボットシステムの購入にも力を入れていませんでした。

インテューイティブ・サージカルの現在の予想PERは58倍であり、2022年初めの72倍超から低下しています。長期的なリーダーシップを考慮すると、今が買い時かもしれません。

ホームデポ

ホームセンター大手のホームデポは、業績こそ弱気相場に逆らって好調ですが、株価はそうではありません。株価は年初来で21%下落し、予想PERは20倍未満と、絶好の買い場を迎えています。

同社によると、DIYの顧客もプロフェッショナルの顧客も、需要は堅調に推移しています。重要なことは、プロ顧客が多くの受注残を抱えていることです。つまり、少なくとも今後数ヶ月間はプロ顧客がこれらの仕事に着手するため、彼らはホームデポで買い物をし続けるということです。これはホームデポの売上高にとって追い風です。

プロ用品の市場規模は4,500億ドルに上り、ホームデポの成長余地はまだあります。同社はプロ顧客やDIY顧客のロイヤリティ向上に取り組んでいます。

例えば、アプリに新機能を追加し、ショッピングエクスペリエンスの効率化を図っています。こうした取り組みは実を結んでおり、同社の月間アクティブユーザー数は年間を通じて、前年同月比で2桁の伸びを示しています。

直近四半期(2022年8-10月期)では、14商圏のうち11商圏で既存店売上高が増加しました。これらはいずれも、ホームデポの利益見通しを楽観するのに十分な理由です。利益の増加は市場シェア拡大を意味します。つまり、今は、この勝ち組企業をポートフォリオに組み込む最適のタイミングと言えます。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。アマゾン・ドットコムの子会社であるホールフーズ・マーケットのCEO、John Mackeyは、モトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。元記事の筆者Adria Ciminoは、アマゾン・ドットコム、ホームデポの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はアマゾン・ドットコム、エッツィ、ホームデポ、インテューイティブ・サージカル、ウォルト・ディズニーの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは以下のオプションを推奨しています。ウォルト・ディズニーの2024年1月満期の145ドルコールのロング、ウォルト・ディズニーの2024年1月満期の155ドルコールのショート、モトリーフールは情報開示方針を定めています。