東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は3日ぶりに反落となりました。12円高の27,884円で寄り付いた日経平均は直後に54円高の27,926円を付けた後マイナスに転じるとしばらく昨日の終値を挟んで小幅に揉み合う展開となりました。しかし、10時過ぎから売りが優勢になると10時40分過ぎに88円安の27,783円まで下落し44円安の27,827円で前場を終えました。92円安の27,779円でスタートした後場の日経平均は下げ幅を三桁に広げ14時40分過ぎに183円安の27,688円まで下落すると結局155円安の27,716円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

上期決算を発表したスズキ(7269)が3.5%高となり年初来高値を更新しました。主力のインドで四輪車販売が回復していることや円安の効果もあり通期の営業利益の見通しを1950億円から2900億円に上方修正したことで大幅高となりました。同じく上期決算を発表したセイコーグループ(8050)も一時8.0%高となり年初来高値を更新しました。円安で欧米向けに高価格帯時計の輸出が伸びていることなどから通期の営業利益の見通しを100億円から120億円に引き上げたことで上げ幅を広げる場面がありました。

第3四半期決算を発表したSUMCO(3436)も2.9%高となりました。主力の半導体シリコンウエハーでデータセンターや車載向けで需要が供給を上回る状況が続いていることなどから2022年12月期の営業利益が前年比で2.1倍の1084億円となる見通しを発表し、市場予想を上回ったことで買いが優勢となりました。リサイクル店を運営するトレジャー・ファクトリー(3093)も一時8.4%高となり上場来高値を更新しました。集客キャンペーンで生活家電や雑貨の販売が増えたうえ、気温の低下で秋冬物衣料が伸びたことなどから10月の既存店売上高が前年同月比で19.0%増と高い伸びとなったことで買いを集めました。

一方で上期決算を発表したダイキン工業(6367)が5.2%安となりました。機能を高めた新商品の投入時期を早めるなどで値上げを進めていることや円安の効果もあり通期の営業利益の見通しを3500億円から3630億円に上方修正しましたが、市場予想に届かなかったことで失望売りが出ました。同じく上期決算を発表した住友金属鉱山(5713)も一時6.2%安となりました。世界的な景気減速で銅価格が想定よりも下落するとみられることから通期の純利益の見通しを1480億円から1370億円に下方修正したことから売りが優勢となりました。また、ビットコインなどの暗号資産が軒並み急落したことで暗号資産を保有するネクソン(3659)やgumi(3903)が売られ、ネクソンが4.5%安、gumiも6.3%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は155円安となりました。米中間選挙の結果が「ねじれ」となり株式市場に逆風となる政策が出にくくなるとの見方による買いが続き昨日の米国市場が続伸となったことで買いが先行しました。しかし、伸び悩むと上値の重さが意識され売りが優勢となり下げ幅を三桁に広げました。明日は夜にマーケットでの関心が高い米消費者物価指数(CPI)の発表を控えていることから様子見になりやすいといえます。そのためこうしたなかで買いが優勢となった場合には節目の28,000円を超えて水準を切り上げることができるかが、反対に売りが優勢となった場合には75日移動平均線(27,624円)を維持できるかがポイントとなりそうです。

なお、決算発表が続いていますが本日も引け後には日産(7201)やホンダ(7267)、三井不動産(8801)などが決算を発表する予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)