東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は米国株高を受けて3日ぶりに反発となりました。342円高の27,233円で寄り付いた日経平均は9時40分過ぎに418円高の27,308円まで上昇しましたが、伸び悩むと11時20分前に231円高の27,121円まで上げ幅を縮め266円高の27,156円で前場を終えました。160円高の27,051円でスタートした後場の日経平均は13時40分過ぎに192円高の27,083円まで戻しましたが、その後引けにかけて上げ幅を縮めると結局84円高の26,974円と安値引けで取引を終えています。こうしたなか新興株も堅調で東証マザーズ指数が上昇となっています。
2.個別銘柄等
大手海運株が大幅高となりました。コンテナ船運賃のスポット価格に下げ止まり感が出てきたことから買いが入り、日本郵船(9101)が3.7%高、商船三井(9104)が4.1%高、川崎汽船(9107)も3.8%高となりました。半導体製造装置関連株も先週末の米国市場で主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が大幅高となったことで高く、東京エレクトロン(8035)が一時4.4%高、SCREENホールディングス(7735)が一時4.0%高、レーザーテック(6920)とアドバンテスト(6857)も3.1%高となりました。東映(9605)も一時4.2%高となりました。子会社の東映アニメーション(4816)がアニメ映画のONE PIECEやドラゴンボールのヒットで通期の業績予想を上方修正したことで東映にも業績拡大を期待する買いが入りました。東証スタンダード市場の東映アニメーションも一時6.6%高となっています。
一方で大東建託(1878)が一時5.1%安となりました。台風などの風水害が想定よりも少なかったことで主力のアパート建設の進捗が前倒しになったことなどから上期の営業利益の見通しを490億円から510億円に上方修正しましたが、市場予想に届かなかったことで下げ幅を広げる場面がありました。上期決算を発表した東京製鉄(5423)も一時3.8%安となりました。ゼロコロナ政策による中国の建設市場の低迷で主原料価格が想定より下がり鋼材のマージンが拡大したことなどで通期の営業利益の見通しを390億円から410億円に引き上げましたが市場予想を下回ったことで売りが優勢となりました。業務スーパーを展開する神戸物産(3038)も4.4%安となりました。出店効果などで9月の単体の売上高は増収となったものの粗利率の悪化により営業利益が前年同月比で3.1%減となったことで売りが優勢となりました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は84円高となりました。米連邦準備理事会(FRB)が年内に利上げペースを減速させるとの見方が浮上し先週末の米国市場が大幅反発となったことで買いが優勢となりました。しかし、一時400円以上上昇し200日移動平均線(27,220円)を上回る場面もありましたが、23日に中国の新指導部が発足し中国の政治・経済に対する懸念が強まり香港のハンセン指数が大幅安となったこともあって伸び悩むと200日移動平均線や節目の27,000円を下回って取引を終えています。そのため200日移動平均線が上値抵抗線として強く意識されそうで、こうしたなかで今週から本格化する決算発表を支えに水準を切り上げることができるかがポイントとなりそうです。
なお、本日も引け後には日本電産(6594)が決算を発表する予定です。また、日本時間の22時45分には10月の米製造業PMI速報値の発表も予定されています。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)