安倍首相が掲げる成長戦略の柱の一つに「女性が輝く日本をつくる」政策があることはご承知の通り。メディアでも各業界で活躍する女性が取り上げられることも多く、ドラマの主人公も働く女性であることがもはや当たり前。「寿退社」などという言葉は死語になったかのようです。
私事ですが、大学時代に研究テーマに選んだのが「女子労働」(ちょっと堅苦しい表現ですが・・・)。いかに女性がM字曲線(結婚出産期に労働率が下がる現象)に影響されず、昇進等の機会にも差がなく働けるのかについて調査研究しました。
それだけに、活躍する女性が増えている、増える環境作りを政府が進めているというのは喜ばしいことです。
とはいえ、ごく一部の華々しい活躍をする女性たちがメディアで取り上げられているとしても、実際にはごくごく普通に、大して恵まれない一般的なOLさんの方が大多数であり、そしてもっとスポットの当たらないところに「貧困女子」もいるのです。
最近、再び「貧困女子」の記事を見ました。働く単身女性の3分の1が年収114万円未満というデータもあります。そうした女性の中で特に10~20代を「貧困女子」と呼び、突然職を失う「失職女子」もあり、貧困女子になるのも明日は我が身・・・という記事でした。
実は2年前にもこのことについて書いています。貧困状態について詳細は下記コラムをご参照ください。 第260回 貧困女子 活躍する女性と貧困女子というのは極めて対照的ですが、実は男女問わず、どうも二極化が進んでいるようです。
若手の男性社員には、私自身が新人だった頃とは比べようもないほど優秀で即戦力になりえるような人も見受けられます。が、一方で話題の「草食系男子」は恋愛のみならず職場でも消極的、元気で優秀な女性社員に後塵を拝しているという話も聞きます。これは日本だけではなく男性の弱体化によって男女の失業率ギャップが拡がる「マンセッション」=男性不況という造語(米国発でマン(男性)+リセッション(景気後退))まであるそうです。
これまではシニア世代と若年層など世代間格差が注目されてきていましたが、男女共同世代内での格差が大きくなってきているのかもしれません。
格差是正を政策に期待するなど、誰かが救ってくれると思う前に、まずは貧困女子&マンセッション側に入らないよう、自ら努力することこそが必要ですね。
「明日は我が身」と前述はしましたが、一度踏み込むと「貧困ループ」に捉えられ、なかなか抜け出すのは大変です。ステップアップを考える余裕もなくなってしまうのですから・・・!
そうならないように、自己実現のための努力、自己投資はもちろん、金銭管理をして自己資金を貯め、増やす(投資)ことは心の支えにもなりますから、なるべく早目に取り掛かりましょう。
廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員