東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は米国株安を受けて続落となりました。節目の28,000円を割り込み294円安の27,797円で寄り付いた日経平均は直後に258円安の27,832円を付けた後下げ幅を広げると11時前に485円安の27,606円まで下落し418円安の27,673円で前場を終えました。400円安の27,690円でスタートした後場の日経平均は13時20分過ぎに501円安の27,589円まで下落した後やや戻したものの27,600円台で推移すると結局430円安の27,661円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が下落となっています。
2.個別銘柄等
日本製鉄(5401)が一時2.8%高となりました。2022年度下期の車用の鋼材価格を上期よりも1トン当たり約4万円(2-3割)引き上げることでトヨタ(7203)と合意したと伝わったことで採算改善に期待する買いが入りました。KADOKAWA(9468)も3.8%高となりました。子会社であるフロム・ソフトウェアがソニーグループ(6758)と中国のテンセントを対象に第三者割当増資を実施し、ゲームIP(知的財産)の企画や開発強化に資金を投じると発表したことで子会社の事業拡大を期待した買いを集めました。半導体や通信機器を販売する菱洋エレクトロ(8068)も13.1%高となり年初来高値を更新しました。上期決算を発表し、産業分野やオフィスの事務機器向けの半導体に加え、パソコンやネットワーク関連機器の販売が伸びていることなどから2023年1月期の営業利益の見通しを23億円から36億円に上方修正したことで買いが膨らみました。
また、投資判断や目標株価の引き上げを受けて買われたのが長谷工コーポレーション(1808)や日本ゼオン(4205)で、長谷工コーポレーションが目標株価の引き上げを受けて一時3.1%高となり、日本ゼオンも投資判断と目標株価の引き上げを受けて3.5%高となりました。一方で投資判断と目標株価の引き下げを嫌気して売られたのが三井金属鉱業(5706)やTHK(6481)で、三井金属鉱業が3.9%安、THKも3.7%安となりました。
さらに米当局がエヌビディア(NVDA)に人工知能(AI)向けの主力半導体の中国への輸出を停止するように命じたことから半導体関連株が安く、東京エレクトロン(8035)が3.4%安、レーザーテック(6920)が3.2%安、SCREENホールディングス(7735)が3.4%安、アドバンテスト(6857)が4.0%安となっています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は430円安となりました。米連邦準備理事会(FRB)高官のタカ派寄りの発言を受けて金融引き締めの長期化を警戒した売りが続き昨日の米国市場が続落となったことで大幅下落となりました。昨日は節目の28,000円を下回ったところで押し目買いが入り下げ渋りましたが、本日は時間外の米株価指数先物が軟調だったこともあり28,000円を割り込み下げ幅を広げる展開となりました。明日は夜に米雇用統計の発表を控えて様子見になりやすいといえますが、こうしたなかで引き続き売りが続いた場合には200日移動平均線(27,501円)を維持できるかがポイントとなりそうです。
なお、日本時間の21時30分には米新規失業保険申請件数が発表されるほか、23時には8月の米ISM製造業景況感指数が発表される予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)