米ドル/円 日足 

週間予想レンジ:135.50~139.00

メインストラテジー:押し目買い

・米ドル高は不変
・上放れ寸前へ
・上昇加速の公算が大きい

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週堅調に推移し、トレンドを維持した。先々週137円関門を一旦トライし、その後再度失速したものの、先週の堅調で流れを再確認したため、これから高値トライに繋がるという見方は不変である。安倍元総理襲撃事件がもたらした影響は限定的だった上、米6月雇用統計や週末参議院与党圧勝など一連の材料も基本的にトレンド維持に寄与し、今週の高値再更新は、また上昇加速していく公算が大きい。

円安のみではなく、米ドル全面高(米ドル指数高)が引き続き重要な背景であることは既述の通りである。主要外貨対米ドルの続落は、そのまま外貨対円の反落で間接的な円買い(円売りポジションの決済)をもたらし、米ドル/円の頭を押さえ込んでいるが、それでも堅調な値動きを見せていることから、米ドル/円の上値志向が窺える。

米ドル高の本流がしっかりしている以上、一番弱い存在である円の本格的な反転はあり得ない。米大幅利上げだけではなく、「スイスショック」の試練もあったからこそ、トレンドの蓋然性が証明され、また先週の堅調もあって、140円心理大台の打診を射程圏に収めている。

米大幅利上げの継続やスイス国立銀行の大幅利上げがもたらした思惑が、マーケットのコンセンサスに織り込まれており、日銀の政策維持が確認されたからこそ、米ドル/円の高値再更新自体が円安本流の証拠となり、本格的な頭打ちのサインなしでは円安の限界を安易に測定すべきではない。先週の値動きをもって同見方が一段と強化され、今さら修正する必要はないだろう。

日足では、6月半ばからモメンタムの低下がすでに観察され、上昇ウェッジに近いフォーメーションが形成されつつある。その点においては、先々週高値トライしてからの反落を解釈しやすく、また上昇モメンタムの意味合い(いずれ反落してくる)に鑑み、高値警戒感があってもおかしくなかったが、先週の値動きに鑑み、このような警戒感も低下してきたと言える。

つまり、本格的な頭打ちのサインなしでは、このような思惑先行の見方はリスキーであり、先週の値動きを受け、むしろ上昇ウェッジの上限を突破することで、一段上昇加速の市況が一層想定される。先週を含め、高値圏での保ち合い自体、頭打ちのサインとして解釈できず、むしろ上値突破前の地合い固めとして解釈されやすいため、上放れの土台がすでにできていると思われる。

直近の値動きでは、6月29日の一旦高値更新自体が「フォールス・ブレイクアウト」のサインと化す可能性もあったものの、先週の堅調で目先の「上昇トライアングル」が形成され、むしろ上放れの蓋然性が強まったため、再度高値更新があれば、前述のサインの否定で一段と上昇加速をもたらすだろう。138~140円といった上値ターゲットに照準を当てたいところである。

とはいえ、米5月の消費者物価指数(CPI)の40年ぶり高い数字がリリースされた後、マーケットはパニック的な米ドル買いに走っていた。米大幅利上げがこれからも続き、また場合によってはもう1回、あるいは3回連続の0.75%の利上げもあり得るといった観測が根強い中、ハイバーインフレ自体が米ドルの価値を毀損する懸念もある。手放しで高値を追える段階でもないことは確かである。

従って、上昇ウェッジに制限される可能性を重視するなら、再度高値更新があっても138円台に制限される可能性もある。ただし、何らかの新しい材料がでれば、吹き値の先行で一旦140円大台の打診があることも想定の範囲であり、しばらくトレンド・フォローの観点を忠実に守るべきだと思う。

そもそも高値圏での保ち合い自体が値幅の縮小、つまりモメンタムの低下が先週も確認されていたため、いわゆる値ごろ感による逆張りが個人投資家の行動パターンとして再度盛り上がった可能性がある。しかし、構造上、このような逆張りの行動が強ければ強いほど、実は一段と上昇していく土台(要するに円買い筋の投げ)になりかねないため、先週の値幅限定自体が一段とトレンドを推進していくだろう。細かいサインの解読は不要であり、トレンド・フォローに徹す、というスタンスを維持したい。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ:92.50~95.50

メインストラテジー:押し目買い

・高値圏変動を維持
・調整延長も限界へ
・強い内部構造

【図表2】豪ドル/円(日足)    
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週切り返し、先々週の反落を帳消しできなかったものの、「底割れ」を回避した模様だ。もっとも、先々週再度反落し、6月高値以来の反落の延長を示唆していたが、先々週の切り返しで調整波の終焉が暗示され、これから上放れの機運を高めるとみている。

重要な点としては、6月16日に安値91.96円の割り込みがあって、調整波の一段延長が確認され、米ドル全面高の「逆風」(要するに豪ドル対米ドルの下落が豪ドル対円の反落に繋がった)にさらされる状況であり、さらなる下値トライがあってもおかしくなかったが、先週「意外」にも底固く推移し、しばらくは調整波の終焉を暗示するような値動きとして見逃せない。

6月8日までの続伸は、一旦高値更新してから反落し、同週の週足では「スパイクハイ」のサインを点灯していた。この意味合いにおいて、先々週の続落をスピード調整の一貫と見る場合は、なお調整波の一環と位置付け、本来90円心理大台のトライに繋がるが、それを回避すること自体、内部構造の強さが示唆される。

なにしろ、6月に入ってからの大幅続伸は、上放れの構造を再度確認した上で、高値再更新を確実視していたため、想定通りの展開と言える。豪ドル対円の優位性が健在であるため、上放れ自体を当然な成り行きとみなし、この意味では、より長いスパンにおいて、これからもブルトレンドを維持できる、という基本認識をずっと維持してきた。

米ドル/円の続伸、また高値連続更新を背景とした豪ドル/円の続伸自体、当然の成り行きであるものの、これは米ドル/円次第の側面が大きいことも否定できなかった。そのため、米ドル/円は6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)前に、すでに高値再更新が確認され、FOMCや「スイスショック」の試練を経て、僅かながら先々週でも高値再更新したことに鑑み、先週豪ドル/円の反落は、明らかに米ドル全面高の試練であった。従って、先週の切り返しは、ブルシナリオの一環として重視され、基本的な内部構造としてなお強い変動にあること自体は問題ないだろう。

もっとも、米大幅利上げ、また連続利上げの想定がすでに圧倒的な市場コンセンサスと化していたからこそ、米ドルの優位性は当面変わらない。その分、豪州の事情(豪州の利上げ継続も想定される)が無視される形で豪ドル対米ドルの反落が確認されてきたが、米ドル全面高の勢いが再度高まってきたところ、豪ドルの優位性が低下していくのも当然な成り行きであった。それでも先週続落せず、むしろ堅調な推移を示していたことは、強い内部構造の証明というほかあるまい。

5月後半から連騰したため、6月8日の96.90円からの反落は、先々週まで続き、また再度拡大したことがあっても、スピード調整として「正当化」できた。反落波の拡大は、強気構造自体の不変を前提条件とすれば、むしろこれからの上昇波を健全化させる側面がある。先々週の続落、また先週の切り返しを同シナリオの一環と位置付け、そろそろ調整波の完成に繋がるだろう。

その証拠として、6月16日の罫線を中心に「Ioi」のサインを形成し、一旦否定されたにも関わらず、先週の切り返しが見られたわけで、目先の日足における抵抗ラインの上放れが有力視される。この場合、6月28日や7月5日が示した「フォールス・ブレイクアウト」のサインが、これから否定されることがあれば、一段と上昇モメンタムの加速に繋がるだろう。

米ドル/円自体が節目にかかり、また値動きが次第に大きく変化するタイミングにあるため、先週安値更新さえなければ、なお上放れの機運にある。先週の切り返しを踏襲し、今週一段と堅調な値動きを期待できるだろう。

仮に米ドル/円の138~140円台の打診があれば、豪ドル/円の上昇が確実視される。ただし、米ドル/円の上昇は米ドル高の側面をより反映してきた分、米ドル/円の高値再更新に豪ドル/円などクロス円が付いて来ないことも事実であるため、豪ドル/米ドル次第では、米ドル/円の高値更新があっても豪ドル/円の高値更新が後ずれになる可能性がある。いずれにせよ、押し目買いのタイミングは不変である。