安倍晋三・元首相のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

アベノミクスを主導された安倍・元首相は間違いなく日本経済の救世主でありました。アベノミクスの大相場を体験できたことは、僕自身の相場人生の中で五指に入る重大イベントでした。本当にありがとうございました。どうぞ安らかにお眠りください。

日本列島が悲しみにくれるなか、時間だけは確実に進む。マーケットも週明けにはオープンし、新たな値を刻んでいく。衝撃的な事件の後遺症で市場心理も明るくはならないだろう。それでも、いや、こういう事件の後だからこそ我々はポジティブな面に意識的に目を向けるべきだろう。

本稿執筆現在、参院選の結果は判明していないが、自民党の圧勝は間違いないだろう。これは素直に日本株式市場にとって好材料だ。先週末の米国市場でナスダック総合や日経平均先物が上昇したことと併せて考えると、週明けの東京市場は買い先行で始まりそうだ。8日の引け後に開示された安川電機(6506)の好決算も追い風となろう。

向こう3年大きな選挙はないため、今回の参院選勝利で岸田政権が長期政権となるレールが敷かれた。岸田政権は発足当時、反市場的と受け止められるようなところもあったので僕も批判的であったが、その後軌道修正し現在はポジティブである。資産所得倍増プラン、積極財政、それに日銀の金融緩和、現在の政策はすべて正しい方向にアドレスしている。政権の安定、正しい政策、インフレ、この3つの要素がそろっている日本はまさにon the right trackである。

日本の政治にとって、いざという時は安倍さんの再登板、という「最後の切り札」がもう使えなくなったというマイナス材料は大きいが、今の岸田政権であれば当面、政治リスクは少ないだろう。憲法改正に一気に傾斜していくというシナリオの可能性は高くないと見る。

今週は注目の物価指標が米国で相次ぐ。13日の6月CPI、そして15日の7月ミシガン大学消費者マインド指数だ。CPIはともかく、ミシガン大学消費者マインド指数はその期待インフレ率に注目が集まるだろう。前回のFOMCで0.75%の利上げを決めた理由として挙げられたのが、同調査での期待インフレだっただけに、今回も市場の大注目材料となるだろう。

いよいよ米国ではQ2(4-6月期)の決算発表が始まる。JPモルガン・チェース、モルガン・スタンレー(14日)、シティグループ、ウェルズ・ファーゴ、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン、ブラックロック(15日)などの金融機関が先陣を切る。その他ではペプシコ(12日)、デルタ航空(13日)、ユナイテッドヘルス(15日)なども決算を発表する。

こうした環境のなか、日経平均は緩やかに戻りを辿るだろう。