【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 29,927.07 ▼741.46 (6/16)
NASDAQ: 10,646.10 ▼453.06 (6/16)
1.概況
米国市場は米連邦準備理事会(FRB)が大幅な利上げを決めたのに続いてスイスと英国の中央銀行も利上げに動いたことで急速な金融引き締めが景気悪化を招くとの警戒感から幅広い銘柄に売りが出て大幅反落となり、主要3指数が揃って年初来安値を更新しています。362ドル安でスタートしたダウ平均は朝方に860ドル安程度まで下落した後一旦下げ渋り昼過ぎに570ドル安程度まで下げ幅を縮めました。しかし、取引終盤に再び下げ幅を広げると一時は928ドル安まで下落しました。その後引けにかけてやや持ち直したダウ平均ですが結局741ドル安の29,927ドルで取引を終え節目の30,000ドルを割り込み14日に付けた年初来安値(30,364ドル)を更新しています。
また、S&P500株価指数も123ポイント安の3,666ポイントとなりこちらも14日に付けた年初来安値(3,735ポイント)を下回ったほか、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も453ポイント安の10,646ポイントと4%を超える下落となり13日に付けた年初来安値(10,809ポイント)を更新しています。
2.経済指標等
先週一週間の米新規失業保険申請件数は前週比3000件減の22万9000件となりましたが市場予想ほど改善しませんでした。6月の米フィラデルフィア連銀製造業景況指数もマイナス3.3と前月のプラス2.6から低下し市場予想を下回りました。5月の米住宅着工件数も年率換算で前期比14.5%減の154万9000戸となり市場予想を下回っています。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は11業種全てが下げました。そのなかでもエネルギーが5%を超える下落となったほか、一般消費財・サービスと情報技術も4%以上下げています。また、素材とコミュニケーション・サービス、資本財・サービスも3%を上回る下落となっています。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄は30銘柄中26銘柄が下げました。そのなかでもアメリカン・エキスプレス(AXP)が6%近く下落したほか、ナイキ(NKE)とキャタピラー(CAT)、シェブロン(CVX)、セールスフォース(CRM)も5%以上下げました。また、アップル(AAPL)も4%近く下落し、ビザ(V)とダウ(DOW)、インテル(INTC)も3%以上下げています。一方でウォルマート(WMT)が1%高となり、プロクター・アンド・ギャンブル(PG)とメルク(MRK)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)も小幅に上げています。
ダウ平均構成銘柄以外では主力ハイテク株の下げが目立ち電気自動車のテスラ(TSLA)が8%を超える下落となり、フェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズ(META)も5%安となりました。グーグルの持ち株会社であるアルファベット(GOOGL)とアマゾン・ドット・コム(AMZN)、動画配信のネットフリックス(NFLX)も3%以上下げています。半導体株も安くアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)が8%余り下落し、クアルコム(QCOM)とウエスタンデジタル(WDC)も7%以上下げています。マイクロン・テクノロジー(MU)も7%近く下落し、エヌビディア(NVDA)も5%を上回る下落となりました。
さらに中央銀行による積極的な金融引き締めが世界景気を冷やすとの見方から旅行レジャー関連銘柄の下げも目立ちクルーズ船のカーニバル(CCL)とノルウェージャン・クルーズライン・ホールディングス(NCLH)、ロイヤル・カリビアン・クルーズ(RCL)が11%以上下落し、空運のアメリカン航空グループ(AAL)とユナイテッド航空ホールディングス(UAL)も8%以上下げています。デルタ航空(DAL)も7%を上回る下落となりました。
5.為替・金利等
長期金利は0.10%低い3.19%となりました。世界の主要中央銀行による利上げが相次ぐなか世界的な金融引き締めが景気を押し下げるとの見方が強まり債券買いが優勢となりました。ドル円は円高に振れ132円台前半で推移しています。欧米の株式市場が大幅に下落するなかリスクを回避する動きが強まり低リスク通貨とされる円が買われました。
VIEW POINT: 今日の視点
本日の日本市場は米国株安を受けて大きく下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均は節目の26,000円を割り込み下げ幅を広げそうです。また、本日は昼ごろに日銀の金融政策決定会合の結果が発表される予定で注目されます。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)