・8月5日の「令和のブラックマンデー」こと世界同時株暴落時に米ドル/円は141円まで下がった。その後、8月中は方向感のない展開だったが、9月に入りまっすぐ下がっている。週明け9月16日には一時140円を割り込んだ。
・欧米のトレーダーは9月の第一月曜日、レイバー・デイ明けから夏休み明けトレードを本格化することから、例年、9月は一方向に動きやすい傾向にある。
・ヘッジファンドの取引を反映しているといわれるCFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションをみると、9月10日に5.5万枚まで拡大した。円買いの「行きすぎ」が懸念されるラインは5万枚で、過去最高で7.1万枚。低金利の円を買うのにはおのずと限度がある。行き過ぎを修正しながらゆっくり円高は進むだろう。
・近年の米ドル高・円安トレンドは2021年1月102円から始まった。その間、急激に円高に戻す局面もあったが、その動きは一時的なものでまた円安に戻していた。では、また円安が再燃する可能性はないのだろうか。52週MA(移動平均線)からみると、今までの一時的戻りでは、52週線前後でとどまっていたが、2024年の場合、大幅に下回っていることから米ドル安・円高にトレンドが変換したと考えらえる。
・通常、米ドル/円は5年移動平均線を軸にして循環する。現在、5年MAは125円。この5年MAを下回るまで、米ドル安・円高トレンドは続くだろう。
・では、そのトレンドが終わり、改めて円安161円を更新するのはいつ頃か? 1990年以降の米ドル/円の高値サイクルを見ると4~9年である。また、2011年の1米ドル=75円という米ドル最安値・円最高値を境に、サイクルトップは上がってきている。今後、高値を更新する際も、161円を更新するだろう。その時期は早くて2028年、遅ければ2033年。2030年以降の可能性が高いと考える。