【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 30,668.53  △303.70 (6/15)
NASDAQ: 11,099.16  △270.81 (6/15)

1.概況

米国市場は米連邦公開市場委員会(FOMC)通過で金融政策に対する不透明感が後退し大幅上昇となりました。205ドル高でスタートし堅調に推移していたダウ平均は午後に入り大幅な利上げを決めたFOMCの結果発表を受けてマイナスに転じ179ドル安まで下落しましたが、パウエル議長が0.75%の利上げが通常になるとは考えていないと述べたこともあってまもなくして持ち直すと大きく上げ幅を広げ一時は647ドル高まで上昇しました。その後ダウ平均は引けにかけて伸び悩み上げ幅を縮めたものの結局303ドル高の30,668ドルで取引を終え6日ぶりに反発しています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も270ポイント高の11,099ポイントとなり続伸となっています。

2.経済指標等

米連邦準備理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の誘導目標を0.75%引き上げ1.5-1.75%に変更することを決めました。通常の3倍にあたる0.75%の引き上げは1994年11月以来となります。しかし、パウエル議長は記者会見で0.75%の利上げが通常になるとは考えていないと述べ、7月会合では0.5%か0.75%の利上げを検討するとしています。さらに2022年末の政策金利見通し(ドットチャート)の中央値は3.375%となり前回3月の予想から1.5%の大幅な引き上げとなっています。

また、6月のニューヨーク連銀製造業景況指数はマイナス1.2と前月から上昇しましたが市場予想を下回りました。5月の米小売売上高も前月比0.3%減となり市場予想を下回っています。6月の全米住宅建設業協会(NAHB)の米住宅市場指数も67と前月から低下し市場予想も下回りました。5月の米輸入物価指数も前月比0.6%上昇に止まり市場予想を下回っています。一方で5月の米輸出物価指数は前月比2.8%上昇し市場予想を上回りました。4月の米企業在庫は前月比1.2%増となり市場予想と一致しています。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は全11業種のうち10業種が上げ、一般消費財・サービスが3%高となったほか、コミュニケーション・サービスと不動産、情報技術も2%を超える上昇となっています。一方でエネルギーが2%以上下げています。

4.個別銘柄動向

ダウ平均構成銘柄ではボーイング(BA)が中国南方航空が主力小型機737MAXのテスト飛行を再開したと伝わったことで9%以上上げ上昇率トップとなったほか、マイクロソフト(MSFT)も3%近く上昇しました。また、ゴールドマン・サックス(GS)とセールスフォース(CRM)、ナイキ(NKE)、シスコシステムズ(CSCO)、アップル(AAPL)も2%以上上げています。一方でダウ(DOW)とシェブロン(CVX)が2%近く下げ、プロクター・アンド・ギャンブル(PG)も1%近く下落しています。

ダウ平均構成銘柄以外では、主力ハイテク株の上昇が目立ち動画配信のネットフリックス(NFLX)が7%を上回る上昇となり、電気自動車のテスラ(TSLA)とアマゾン・ドット・コム(AMZN)も5%以上上げました。フェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズ(META)も3%を超える上昇となり、グーグルの持ち株会社であるアルファベット(GOOGL)も3%近く上げています。さらに音楽配信最大手のスポティファイ・テクノロジー(SPOT)や高級バッグの「コーチ」を展開するタペストリー(TPR)が投資判断と目標株価の引き上げを受けて高く、スポティファイ・テクノロジーが7%を超える上昇となり、タペストリーも3%以上上げています。

5.為替・金利等

長期金利は0.18%低い3.29%となりました。こうしたなかドル円は円高に振れ134円台前半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は米国株高を受けて上昇してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が節目の26,500円を超えてどこまで上値を伸ばせるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)