東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株安を受けて5日ぶりに大幅反落となりました。475円安の26,435円で寄り付いた日経平均は直後に452円安の26,458円までやや持ち直した後下げ幅を広げ取引開始から5分余りで761円安の26,150円まで下落すると、その後も安値圏で推移し672円安の26,238円で前場を終えました。TOPIXの前場の下落率が2%を超えていたことから日銀が上場投資信託(ETF)に買いを入れるとの観測から昼休み時間中に日経平均先物が下げ渋ったことで567円安の26,343円と下げ幅を縮めてスタートした後場の日経平均は14時過ぎに452円安の26,458円まで持ち直すと結局508円安の26,402円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

楽天グループ(4755)が3.6%安となり年初来安値を更新しました。傘下の楽天モバイルが携帯料金プランを改定し月額無料で使える条件を廃止すると発表するなか、KDDI(9433)が格安ブランドpovoで提供している月額基本料0円のプランの申し込みが通常時の約2.5倍に増えたと伝わったことで楽天モバイルからの顧客流出を懸念した売りが出ました。トヨタ(7203)も一時3.6%安となりました。一時127円台後半まで円高が進んだことや、愛知県の取水施設の漏水で川の水がくみ取れなくなりトヨタなどへの工業用水の供給が一部止まったこともあって売りが優勢となりました。車の生産拠点である長草工場の稼働を一部止めると伝わった豊田自動織機(6201)も一時4.1%安となっています。セブン&アイ・ホールディングス(3382)も4.0%安となりました。米小売り大手の冴えない決算を受けて米国でコンビニ事業を積極展開するセブン&アイ・ホールディングスにも業績悪化を懸念した売りが出ました。

一方で東洋建設(1890)が9.5%高となりました。任天堂創業家の資産運用会社が東洋建設に対して1株1,000円での株式公開買い付け(TOB)を正式に提案したと発表したことから買いを集めました。イオンファンタジー(4343)も目標株価の引き上げを受けて5.3%高となり年初来高値を更新しています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は508円安となりました。ディスカウントストア大手の米ターゲット(TGT)やホームセンターの米ロウズ(LOW)といった米小売り大手の冴えない決算を受けて昨日の米国市場でダウ平均が1,100ドル以上下落し今年最大の下げ幅となり年初来安値を更新したことで売りが優勢となりました。下げ幅を広げ昨日に回復した75日移動平均線(26,813円)や25日移動平均線(26,706円)、さらに一目均衡表の雲の下限(26,510円)や節目の26,500円も割り込んだことで下値への警戒感が改めて意識されそうですが、後場に入って下げ渋ったこともあり明日以降の切り返しに期待したいところです。

なお、日本時間の21時30分には米新規失業保険申請件数と5月の米フィラデルフィア連銀製造業景況指数が発表されるほか、23時には4月の米景気先行指標総合指数と4月の米中古住宅販売件数が発表される予定です。また、19日の米国では半導体製造装置大手のアプライドマテリアルズ(AMAT)の決算発表が予定されています。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)