【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 31,834.11 ▼326.63 (5/11)
NASDAQ: 11,364.24 ▼373.44 (5/11)
1.概況
米国市場は米CPIが市場予想を上回る伸びとなったことで米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めを警戒した売りがハイテク株を中心に出て大幅下落となり、主要3指数が揃って年初来安値を更新しました。37ドル安でスタートしたダウ平均は押し目買いが入りプラスに転じるとまもなくして423ドル高まで上昇しましたが、買いが続かず上げ幅を縮めると午後に入ってマイナスに転じ昼過ぎには320ドル安近くまで下落しました。その後一旦持ち直しプラスとなったダウ平均ですが30ドル高程度で伸び悩むと再びマイナスとなり引けにかけて下げ幅を広げました。引け間際に361ドル安まで下落したダウ平均は結局326ドル安の31,834ドルで取引を終え5日続落となり前日に続いて年初来安値を更新しています。
また、S&P500株価指数も65ポイント安の3,935ポイントと反落となり9日に付けた年初来安値(3,991ポイント)を更新したほか、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も373ポイント安の11,364ポイントと反落となりこちらも9日に付けた年初来安値(11,623ポイント)を更新しています。
2.経済指標等
4月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比8.3%上昇となり3月の8.5%上昇から伸びは鈍化したものの市場予想を上回りました。また、4月の米財政収支は3080億ドルの黒字となり月間の黒字額として過去最高となっています。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全11業種のうち8業種が下げ、一般消費財・サービスと情報技術が3%を超える下落となり、コミュニケーション・サービスと金融も1%以上下げています。一方でエネルギーと公益事業、素材の3業種が上げ、エネルギーは1%以上上昇しています。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄は30銘柄中22銘柄が下げました。そのなかでもアップル(AAPL)が5%余り下落したほか、セールスフォース・ドットコム(CRM)とマイクロソフト(MSFT)も3%以上下げています。ダウ平均構成銘柄以外でも主力ハイテク株の下げが目立ち電気自動車のテスラ(TSLA)が8%を超える下落となり、動画配信のネットフリックス(NFLX)も6%以上下げました。フェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズ(FB)も4%を超える下落となり、アマゾン・ドット・コム(AMZN)も3%以上下げています。半導体株も安くエヌビディア(NVDA)が5%を超える下落となり、クアルコム(QCOM)も3%以上下げています。マイクロン・テクノロジー(MU)とウエスタンデジタル(WDC)も3%近く下落しています。一方でゲームソフトのエレクトロニック・アーツ(EA)が決算で1株利益が市場予想を上回ったことで8%近く上げています。
5.為替・金利等
長期金利は0.07%低い2.92%となりました。ドル円は129円90銭台で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
本日の日本市場は米国株安を受けて下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均は節目の26,000円を割り込みそうですが、朝方の売り一巡後に下げ渋るような動きをみせるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)