米ドル/円 日足
週間予想レンジ:129.00~132.50
メインストラテジー:押し目買い
・131円関門トライでさらなる上値を狙う
・連騰だからこそ連動が続く見通し
・日銀政策維持で円の買い戻しなし
アナリシス:
先週は続伸し、米ドル/円相場は一気に130円心理大台をブレイクし、一旦131.25円をトライした。2015年高値のブレイクを果たした時点で、2011年安値(米ドル最安値)を起点とした大型上昇波の延長を決定したため、雄大なトレンドの一段の継続が示唆され、これから130円以上の変動レンジに留まる可能性さえ出てきた。
もっとも、4月第1週の陽線引けは、3月最終週の値幅のなかで「孕まれる」形で「インサイド」を形成していたため、その後の高値更新は同サインの上放れを意味し、強気サインとしてさらなる上昇余地を示したわけで、先週までの続伸は当然の成り行きとみている。しかし、3月初頭から週足における「8連陽」の達成や、また4月半ばからの加速もあって、やはり材料なしではここまでの連騰は容易ではないはずだ。
リスク回避先として、円の地位消失や日米金利差などすでに繰り返し解説してきた基礎要素以外に、新たに浮上した2つの要素も見逃せない。1つは米ドル全面高の背景、もう1つは日銀の指値オペである。前者に関しては、コロナショック時の高値更新を果たした米ドル指数の値動きでみれば一目瞭然であり、言ってみれば従来の円安という側面以上に、最近は米ドル高の側面が大きい。後者に関しては、先週再度日銀の金利上昇抑制姿勢を確認する形で、3月末と同じ構図で円売りの安心感につながったわけで、米ドル/円の連騰はむしろ当然とされる。
3月28日に日銀の連続指値オペがあって、円安がさらに加速され、一時125.11円をトライし、2015年高値の125.86円を迫った。従って、先週の日銀スタンスの再確認で円売りの安心感が再度強まり、また米ドル全面高における米ドル買い、またリスク回避先として米ドルが選好された側面もあったからこそ、連騰したわけだ。米大幅利上げ観測の高まりで円安恐怖さえ引き起こしたわけだが、円ロング筋の総踏み上げといった内部構造と別の構造上の要素も浮上してきただけに、しばらく上値限界を値ごろ感で判断できそうにない。
日足では、4月20日~25日の罫線が「インサイド」のサインを形成し、同4月26日に一旦下放れを果たした。しかし、下値トライが続かず、4月19日に大陽線の安値(126.96円)前後にて反騰し、4月27日の大陽線自体が「強気リバーサル&アウトサイド」のサインを点灯したからこそ、4月28日のさらなる続伸や高値更新に繋がったわけで、4月29日の反落があっても、あくまで強気変動におけるスピード調整とみなしている。ここから早期終値をもって127円関門を下らない限り、なお上値トライの公算が大きい。安易な頭打ちに関する認識は、連騰してきた目先において、なお避けたいところである。
もっとも、130円心理関門以上の定着があれば、2002年高値の135.16円まで大した抵抗ゾーンは見つからない。調整なしで一気に135円大台の打診を確実視しているわけではないが、歴史的な強気トレンドに位置するだけに、覚悟をしておきたい。しばらく様子見か、ロングスタンスという形しか取れないのではないだろうか。
豪ドル/円 日足
週間予想レンジ:91.00~95.00
メインストラテジー:押し目買い
・調整は一旦完成の公算
・強気継続でより健全に
・豪ドル/米ドル次第で波乱
アナリシス:
豪ドル/円相場は先週続落し、連続2週間の陰線引けを果たした。とはいえ、一旦調整の継続を警戒していたため、想定通りの展開と言える。先々週一旦高値更新し、95.77円をトライしてから反落、93.05円にて大引けし、週足では典型的な「スパイクハイ」のサインを点灯した。このようなサインに鑑み、一旦頭打ち、また調整の可能性が増大していることを暗示していたため、先週の続落自体は自然な値動きだと言える。
先々週の足型が弱気のサインと解釈された原因の1つは、先々週の「スパイクハイ」の足型のみではなく、3月28日から3週間に渡って形成された「インサイド」のサインが先々週にて一旦上放れしたため、その後の反落や陰線引けで「ダマシ」のサインとして警戒されたことだ。そのため、先週の続落は当然視された側面もあった。
3月末の大幅続伸は、1月末から連続9週間の上昇を果たし、94円関門をトライした。その後の反落は、90円後半に留まった上、91円後半にて大引けしたことで小幅調整の完成を暗示し、また急騰したからこそ強気基調の維持に繋がった。3月28日に日銀のオペを受けた円の一段急落は、「行き過ぎ」を示したものの、その後あくまでスピード調整の先行となり、頭打ちを認識できるまで程遠かったため、3月末から4月半ばまでの陽線引け自体が証拠となったわけである。
従って、先々週の高値更新は、本来「インサイド」の上放れとなり、さらなる上昇モメンタムの加速や上昇余地の拡大に繋がるはずだったが、一転して反落、週足では陰線で大引けし、日足では4月19日から4月22日までの罫線で「宵の明星」のサインとなった。また、3月末から形成されてきた「上昇トライアングル」の上放れも「ダマシ」と化した可能性が大きく、一旦調整的な値動きをもたらし、4月26日安値の90.58円の打診に繋がったわけだ。
とはいえ、あくまで調整波の先行であり、ブル基調自体の否定には程遠い。その後の切り返しは、まだまだ弱い値動きに留まっているものの、総じて深押しの可能性を低下させている。また、豪ドルの強気変動には見逃せない2つの決定的なポイントがある。1つは地政学リスクの強まりで原油、穀物をはじめとした商品相場の急騰。もう1つは主要外貨のうち、豪ドルの強さが先行されてきたところである。
4月に入ってから、確かに豪ドル/米ドルの調整が大きく、またそれにつられた形で豪ドル/円の調整が見られてきたが、スピード調整自体がむしろ歓迎されると、ブルトレンドの健全化に繋がるはずで、これからの上昇余地に繋がる公算が大きい。主要外貨のうち、円は最弱な位置付けを維持しており、相対的に豪ドルの優位性がなお維持されるはずだ。
日足では、4月26日と27日が「インサイド」のサインを形成し、4月28日の陽線をもって同サインの上放れを示した。4月29日の反落は、スピード調整の鈍化を暗示したものの、基本的な構造はなお維持しており、3月末安値に対する一時的な下放れ自体が「ダマシ」の可能性を示唆したとみている。見方が正しければ、これから続伸し、再度高値トライをもってブル構造の維持や加速を示すことで、これからの上昇余地を拡大するだろう。
90円心理大台を乗せて以来、豪ドル/円は事実上新たな変動範囲に入り、先々週95円後半までの打診がその前触れとみなされ、同週の「ダマシ」のサインがあってもなお道半ばと示唆される。言ってみれば、調整波の先行、また一時深押しの可能性も排除できないものの、90円関門を下回らない限り、早かれ遅かれ96~98円といった従来の上値ターゲットに照準を当てるだろう。強気変動における「ダマシ」は、往々にして頭打ちやトレンド反転のサインではなく、あくまで途中の速度調整となりがちなので、近々の値動きは重要な役割を果たすとみている。