マネックス証券が2021年10月より掲げている新たなブランドビジョン「大切なものに投資をしよう」には、投資の価値を儲けや利益だけではなく、それぞれの未来や夢を実現させるものへと進化させていきたいという思いが込められています。そこで、このビジョンが生まれた背景をより多くの方に理解していただくために、投資を通じて「大切なもの」の実現に向けた未来づくりをサポートするマネックス・アナリスト陣にインタビューを実施しました。
アナリスト陣が考える、「大切なもの」とはどのようなものでしょうか?第4回目はチーフ・FXコンサルタントの吉田恒のインタビューをお届けします。
運命のいたずらで為替の専門誌で働くことに
――吉田さんが今の仕事に出会ったきっかけを教えて下さい。
吉田:僕は大学時代、文学部史学科で学び、ジャーナリストを志望していました。しかし、今も昔もマスコミ業界は狭き門。希望する企業に入社できず、為替の専門誌で働くことになったことになったんです。
経済学を専攻していたわけでもなく、当時、日経新聞もろくに読んでいなかった人間が、まさか為替の世界に飛び込むことになるとは。運命のいたずらですね。
社会人になった1985年の日本といえば、バブルの真っ只中。為替レートの安定化を図るため、プラザ合意という世界経済に影響を及ぼす出来事が起こった年です。
今は、金利や株の値動きによって為替も変動しますが、当時は、1ドル=200円にすることが政策目標でした。この目標を達成するために他の政策も総動員されていたため、為替がテレビのニュースや新聞のトップをしょっちゅう飾っていたんです。世の中で、経済が大きな注目を集め、為替が経済の主役でした。そんなタイミングで為替の専門誌で働くことになるなんて幸せでしたし、自分には運があるな、とも思いました(笑)。
働くこと=稼ぐこと。誤解されない情報発信を
――仕事において心がけていること、こだわりなどはありますか。
吉田:日本では1998年に、個人投資家向けのFXがスタートしました。世の中の関心が高まるにつれて、為替相場に関する情報がより求められるようになったわけです。為替を取り巻く環境の変化に応じながら、自身の仕事のやりがいも高まっていきました。個人投資家の投資や為替に関する知識や経験は、人によって大きく差があります。そういった中で、私は“誤解されない情報発信”を心がけてきました。誤解されるのは、誤解させるほうが悪いと思っています。
ですので、セミナーなどで話す際には、先に結論を述べるようにしています。「今日は米ドルが120円まで上がるお話をします」と結論から話し始めると、参加者の皆さんはそのつもりでお聞きになるので、誤解されるリスクがぐっと下がります。また、セミナーの資料では、アニメーションを多く使って、皆さんの目線を集中させ、できるだけ誤解を避けられるような工夫も凝らしています。
常に「情報を誤解されないように発信する」という意識を持つべきだと考えており、それが僕の強い信念となっています。
――吉田さんにとって、働くとはどういうことなのでしょうか。
吉田:働くことと稼ぐこと。この2つは完全にイコールで結ばれていると考えています。そのため、自分が発信したことについて対価をいただいているという意識を、常に持っているつもりです。稼ぐことを意識しないで書いたものや話したことは、日記と変わりませんから。僕がここまでやってこられたのも、運命のいたずらで為替と出合えたお陰です。僕には、その魅力を広く多くの人にお伝えする責任があります。また、自分を活かしてくれた為替やFXに対して恩返しをしていきたい気持ちが、年齢を重ねるごとに強くなっています。
また、僕は、マネックス・ユニバーシティ FX学長として、投資教育にも取り組んでいます。投資教育はお客様の「資産を増やすこと」を応援できる教育でないと意味がないと思っています。アナリストとして、為替も、安定的に資産を増やせることをしっかり実証することで、他の運用商品にも負けない魅力があることをしっかりと伝えていきたいですね。
「お金に支配されるか」「自分がお金を支配できるか」によって人生は大きく変わる
――吉田さんが仕事以外で大切にしていることは何ですか。
吉田:僕には21歳の息子と19歳の娘がいます。2021年、20歳の節目を迎えた息子には、「投資をやりなさい」と言って、成人祝いとして10万円を渡しました。「これから一生付き合うものとして投資をしっかり勉強して、スタートさせるお金として使いなさい」と、投資の入門書数冊とともに贈りました。この贈り物には、「投資を通じて早期リタイアし、人生を謳歌する」という目標が未達成のままになっている自分への反省も込めています。
お金は、人生において当たり前に重要なものです。そのお金に支配されるか、あるいは自分がお金を支配できるかによって、人生は大きく変わります。良いことも悪いことも起こるのが人生。その繰り返しの中で、良いことを増やしていけたら幸せですし、自分にとって大切なものにフォーカスして投資をすることが、幸せへの近道になり得ると思うのです。そのことに早い段階で多くの方に気づいていただきたいですね。
親の責任として、人生の先輩としてアドバイスしたのですが、成人して1年経った今も、まだ息子は投資を始めていません。果たして、どれだけ僕の思いが伝わったのか…。確認する術はないんですけど(笑)。