マネックス証券が掲げるブランドビジョン「大切なものに投資をしよう」。そこには、投資の価値を儲けや利益だけでなく、それぞれの未来や夢を実現させるものへと進化させていきたいという思いが込められています。ブランドビジョンを通じて、自分の好きなもの、大切なことを世に広め、新たな価値観を共有するための活動に励む人々の“想い”を発信しています。
今回は、プロパラグライダーとして世界で活躍し、引退後は地元の長野県伊那市でアウトドアアクティビティの複合施設『ASOBINA』を運営する呉本圭樹さんの夢や想いにスポットを当てます。
映画『トップガン』や飛行機が大好きだった呉本さんは、両親の影響もあって10代の頃からパラグライダー競技を始めました。大学卒業後、大好きなアウトドアとは関係がない職場に就職したものの、自分が一番やりたいことは何かを見つめ直し、プロのパラグライダーに転身。
マイナースポーツのため、スポンサー探しに苦労したり、世界大会で活躍しても賞金はないに等しかったり、さまざまな苦労もありました。2016年2月にはトレーニング中の墜落事故で10日間意識が戻らないほどの大怪我も負いました。しかし、2ヶ月後には練習に復帰。プロ生活10年の間に、6年連続アジアランキング1位、世界ランキング最高8位という輝かしい成績を残しました。
引退後は故郷の伊那市でパラグライダー、オフロードバギー、SUP(サップ)など、さまざまなフィールドスポーツを楽しめる『ASOBINA』を主宰。アウトドア文化の普及や地方創生につながる活動を地道に続けています。
アウトドアスポーツを通じて人生をとことん楽しみ、その喜びを多くの人と分かち合いたいという想いを持って活動する呉本さん。呉本さんが情熱を注ぐアウトドア分野から、どのような投資の機会が考えられるでしょうか。
アウトドア文化が日本の経済活性化につながる可能性も
大自然のもと、開放的で充実した生活や休日を楽しみたいニーズの高まりもあり、アウトドア文化やパラグライダーなどマイナースポーツの持つ潜在的価値は、さまざまなビジネスにおいても注目されています。特に、コロナ禍の影響で、感染リスクが比較的少ないキャンプや釣り、自転車といったアウトドアスポーツがブームになりました。
観光産業の分野では、単なる有名な観光地を巡りやショッピングだけでなく、体験型観光コンテンツの提供が定着しつつあります。コロナ禍で激減した外国人の訪日が回復するにつれ、四季折々の豊かな自然や、地域に根差した伝統文化を満喫できるような体験ツアー、観光コンテンツが盛り上がってくるでしょう。
資金面で苦労の多いマイナースポーツの普及や過疎化が深刻になっている地方の再生という課題がある中で、アウトドア文化の定着や自然との共生を大切にするライフスタイルへのシフトが求められるかもしれません。さまざまなアウトドアアクティビティの体験やイベントの主催者と、そのサービスを満喫したい人々を繋ぐマッチングビジネスは日本でも海外でも今後、さらに普及していくでしょう。
これまで多くの産業やビジネスの中心地は、主に人々が密集した都市でした。しかし、アウトドア文化の隆盛やフィールドスポーツの普及を通じて、自然との共生や環境保全、地方資源の有効活用などに人々の関心が向くことは、停滞した日本の経済活性化につながるかもしれません。
アウトドア文化の定着が世界にもたらす変化
アウトドア文化がさらに深く根づくと、人々の経済活動や行動様式、ひいては人生観や価値観にどのような影響がもたらされるでしょうか。
幸せ・豊かさ:
市場:
アウトドア向けの多彩なサービスやグッズの登場が新たな市場やコミュニティを誕生させる。
新しい価値観:
アウトドア体験が自然や地域との共生、人と人とのつながりを大切にした新たな人生観を育む。
成長・発展:
コロナ禍で広がったワーケーションやソロキャンプのような新たなアウトドアの楽しみ方が広がる。
未来を変える力:
アウトドア文化の普及が子どもたちの教育・人格形成に役立ち、地域と連携しながら持続可能な経済の普及を促す。
アウトドア文化の普及で注目される企業
観光庁の調査によると、コロナ禍の影響で大きく落ち込んだものの2020年の日本国内の旅行消費額は12兆円、雇用誘発効果は108万人に達しています。そういった状況下で、3密を避けられるキャンプブームが起こるなど、アウトドア文化に対する新たな需要が芽吹きました。
日本には持前の技術力を活かし、アウトドア文化に欠かせない自転車や釣り道具、ゴルフ用品などで世界的なブランドを確立しているメーカーも数多くあります。もともとアウトドア文化が人々の生活に根差した米国企業の中には、アウトドアに特化した高機能なIT製品の販売でユーザーから熱狂的な支持を受けている新興企業も誕生しています。
今では、インターネットを通じて手軽にレジャー、遊び、体験スポットを検索・予約できるサイトも増えています。スポーツアクティビティを提供する地方の人材と、アウトドアを満喫したい都会の人々を結びつけるマッチングサービスは今後の成長分野といえるでしょう。アウトドア向けのファッションやグッズを提供する企業も、自然を愛し、スポーツを楽しむライフスタイルの浸透に一役買っているといえるかもしれません。
アウトドア文化やさまざまなフィールドスポーツの普及に寄り添い、ともに発展する上場企業として次のような企業が挙げられるでしょう。
・シマノ(7309)
海外でも広く知られた自転車部品メーカー。渓流釣りの毛ばりや竿など、釣り用具でも世界屈指。カヌー、カヤック、ボート用品も手掛けており、日本だけでなく世界のアウトドアレジャーに欠かせない企業といえる。自転車のプロチームや大会・イベントのスポンサーも多数行っている。
・グローブライド(7990)
「ダイワ」ブランドの釣り具で世界首位。「地球を感じ、生きていく。」をスローガンに全国各地でフィッシングイベントを主催。破棄漁網から作ったウェアや海洋生分解性樹脂を利用したバイオマス釣り糸など、環境に配慮した製品づくりにも意欲的。
・ガイアックス(3775)
SNSマーケティングが主力のIT企業。遊んで学べる体験プラットフォーム「aini(アイニー)」を運営。スポーツアクティビティ、農業、昆虫採集など自然体験などの提供者と顧客をつなぐマッチングサービスを手掛けている。
・ワークマン(7564)
安価な作業服・安全靴チェーンをフランチャイズ展開。2022年3月期から本格的にキャンプ・アウトドア用品の販売にも乗り出し、品ぞろえ豊富な商品ラインナップが話題を集めている。安価なキャンプグッズは幅広い層に好評で、日本のアウトドア文化のすそ野拡大に貢献。
上記のようなアウトドア関連の企業の株を株式市場で購入するには、100株単位となるため、数十万円以上の高額な資金が必要な場合もあります。ただ、1株単位で少額から購入できる単元未満株で取引できる銘柄もあります。
呉本さんが世界的に活躍したパラグライダー発祥の地である米国では、日本以上にアウトドア文化が深く根づき、大自然を満喫できる斬新なニュースポーツが次々と生み出されています。
日本でもおなじみになった「民泊」という言葉を世界中に普及させたオンライン旅行代理店のエアビーアンドビー(ABNB)は、さまざまなスポーツアクティビティやイベントなど体験型観光サービスのガイドとユーザーをつなぐマッチングサービスも提供しています。
登山などに欠かせない高度計や気圧計も完備したGPSウォッチメーカーのガーミン(GRMN)、スポーツ用カメラとしてサーファーやスノーボーダーなどに愛用されているゴープロ(GPRO)なども、米国に根づくアウトドア文化の土壌から生まれ、あっという間に世界中でその製品が受け入れられた新興企業といえるかもしれません。
銘柄コード | 銘柄名 | 市場 | 株価 | 売買単位 | いくらから投資できる? (概算購入金額) |
企業情報 |
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(7309) | シマノ | 東証プライム | 21,630円 | 100株 | 2,163,000円 | 変速機やブレーキなど自転車部品で世界シェアNo.1。サインクリング文化が定着したヨーロッパでのブランド力が非常に高いことで有名。円安や電動アシストスポーツ自転車の成長で2022年12月期は最高益を更新。 |
(7990) | グローブライド | 東証プライム | 2,372 円 | 100株 | 237,200円 | 海釣り、川釣りともに多彩で高機能な商品ラインナップを誇る釣り具世界首位メーカー。米国のバス釣り用品の販売が好調。中国などアジア圏でもルアーフィッシングが普及しつつあり、業績に貢献。高成長が続く。 |
(3775) | ガイアックス | 名証ネクスト | 445円 | 100株 | 44,500円 | 企業SNSの運用代行などマーケティング事業が好調で2023年12月期は3期ぶりの営業黒字転換を見込む。体験プラットフォーム事業「aini」のほかにも、シェアオフィス、クラウドキッチンなどシェアリングエコノミー事業を多数展開している。 |
(7564) | ワークマン | 東証スタンダード | 5,540円 | 100株 | 554,000円 | 「ワークマンプラス」「ワークマン女子」など一般ユーザー向けアパレル販売が急成長して、株価も躍進。円高で安価な衣料品の輸入コストが利益を圧迫しているものの、コストカットや店舗拡大で乗り切る。 |
(ABNB) | エアビーアンドビー | 米国NASDAQ | 121.17ドル | 1株 | 約16,043円 | 世界最大のオンライン宿泊旅行代理店。宿泊施設だけでなく、自然・アウトドア関連のツアーガイドなど体験ホストのマッチングサービスも行っている。コロナ収束後の旅行需要再開で業績躍進中。 |
(GRMN) | ガーミン | 米国NYSE | 95.30ドル |
1株 |
約12,618円 | フィットネスやアウトドア向けのGPS対応ウォッチメーカー。スキューバダイビングやグライダーなどニッチなスポーツに特化した地図データのライセンス供与も行っている。 |
(GPRO) | ゴープロ | 米国NASDAQ | 4.87ドル |
1株 |
約645円 | アウトドアスポーツの撮影に欠かせない小型で高解像度なハンディカメラで世界有数。画像データの保存などができるサブスクリプションサービスの成長が期待されている。 |
※「概算購入金額」は2023年3月22日の株価の終値をもとに計算。外国株は3月22日東京市場終値の為替レート1ドル132.40円で円換算
出所:各種公表資料より大切なものに投資をしよう編集チームが作成。