個人向け国債は2003年に変動金利型の10年満期、2006年に固定金利型の5年満期の発行が始まりました。(現在は個人向け復興応援国債(変動10年)、個人向け復興国債(変動10年・固定5年・固定3年)があります。)

安全性が高く、預貯金より多少なりとも利回りが良いため発行当初から注目を集め、とりわけ固定金利型5年満期の個人向け国債が発行されると、満期まで固定金利であること、資金の拘束期間が短いことから人気を集めました。

固定金利型5年満期の個人向け国債は、財務省のデータを見るとこれまで発行された中で最も初回利率が高かったのが2007年7月の1.50%(税引前)です。2006年7月から2007年10月までの計6回はいずれも利率は年利率1.10%(税引前)を超えていました。
利率が高めとして知られるネット銀行の5年満期の定期預金ですら当時1.0%を超えることはほとんどありませんでした。
当然、発行金額も利率が高いときはそれ以降に比べかなり多かったのです。
その大量に発行された固定5年物の償還は2011年夏頃から順次始まり、この7月にピークがきています。
夏のボーナス時期も重なり、かなりの資金量になるはずですが、それらは国債に再投資されずに社債や投信に向かっているという記事が先週日経新聞にありました。

2012年7月発行の固定5年物の利率は年利率0.19%(税引前)、固定3年物は年利率0.07%(税引前)ですから、定期収入(インカムゲイン)を狙って継続投資するにはかなり物足りないと感じるのではないでしょうか。
また欧州不安の続く中、連日南欧の国債の金利高騰(価格急落)の報道を耳にすれば「国債」そのものに対する不信・不安も出てきていることもあるでしょう。

元々個人向け国債を購入している投資家のリスク選好度は低く、現在の投資環境を鑑みて、なるべく元本割れのリスクを抑えつつ、高めの利回りのインカムゲインを得られそうな金融商品を探した結果、社債や予想配当利回りの高い株式投資タイプの定期分配型投信などにその資金を移しているとのことです。

また個人向け国債の購入者は比較的年齢層が高く、年齢層が高い方ほど購入金額が大きいというデータがあり、元本資産を殖やすことよりインカムゲインを増やすことの方が優先度は高いと言えるのでしょう。分配型投信はそうした目的にかなっていると言えますね。

インカムゲイン狙いという意味では、個人的には社債はよりその目的に適していると思います。

国債は安全性が高いとされますが、日本国そのものの信用リスクを負っています。
まず債務不履行はないと思われますが、信用格付けで同程度の社債であればその利回りは国債より高めになる場合が現時点では多いです。
債務不履行がない限り、投資資金の元本は償還されます。

安全性を重視していても、いま一歩踏み出してリスクを少しだけとる商品を探すことをしなければ、現在の投資環境ではお金は増えないということを投資家の皆さんは感じているということですよね。

廣澤 知子

ファイナンシャル・プランナー

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個人向け国債取引に関する重要事項

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<リスク>

個人向け国債は、元本と利子の支払を日本国政府が行うため、安全性の高い金融商品ですが、発行体である日本国の信用状況の悪化等により、元本や利子の支払不能が生じ、投資元本を割り込み、元本損失が生じるおそれがあります。

<手数料等>

購入対価をお支払いただきますが、取引手数料・口座管理料はかかりません。

<中途換金>

・個人向け国債については、本人が死亡した場合などを除き、変動金利タイプ(10年満期)及び固定金利タイプ(3年満期)は発行後1年以内において、固定金利タイプ(5年満期)は発行後2年以内において中途換金ができません。

・個人向け国債を中途換金する際、原則として下記により算出される中途換金調整額が、売却される額面金額に経過利子を加えた金額より差し引かれることになります。

変動金利型10年満期個人向け国債(変動・10年):直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.8

固定金利型5年満期個人向け国債(固定・5年):直前4回分の各利子(税引前)相当額×0.8

固定金利型3年満期個人向け国債(固定・3年):直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.8

※発行から一定期間内に中途換金する場合、上記の中途換金調整額が異なることがあります。

<その他>

ご購入の際は、当社ウェブサイトに掲載の「契約締結前交付書面」「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」を必ずお読みください。