モトリーフール米国本社、2022年4月3日投稿記事より

賢明な投資家はパフォーマンスの持続可能性を左右する要因を注視

ネットフリックスを知らない投資家はほとんどいないでしょう。ストリーミング配信のパイオニアである同社は、長年にわたる目覚ましいパフォーマンスによって注目を集めています。ネットフリックスへの投資を考えているならば、一般的な理解以上のものを身につけることが賢明です。

投資家は、ネットフリックスについて少なくとも以下の3つのポイントをおさえておくとよいでしょう。

1. 圧倒的な会員数

ネットフリックスはストリーミング配信のパイオニアであり、誰もが認める業界のリーダーです。2021年末時点で会員数は2億2,200万人に上り、前年比で8.9%増加しました。これは業界内でも群を抜く会員数であり、会員数が2億人を超えるストリーミング配信企業は他にありません。

新型コロナウイルスの感染が拡大し、世界中の人々が感染を防ぐために外出を控えたことから、パンデミック初期に会員数は急増しました。2020年だけで、ネットフリックスの新規会員数は3,600万人以上増加しました。

2. 加入者数の伸びが鈍化

当然のことながら、パンデミック初期の勢いは弱まっています。数十億人が新型コロナワクチンを接種し、各国政府は経済活動の制限を緩和し、人々はパンデミック以前の生活を徐々に取り戻し始めています。その結果、家庭用エンターテインメントの需要は減少しています。

一方で、複数のメディア企業が、パンデミック期間中にストリーミングサービスを顧客に提供することの価値に気付き、独自にサービスを開始しました。これまで10年近く、ほとんど競争のなかったネットフリックスですが、ここにきて資金力のある多くのライバル企業との競争に直面しています。さらに悪いことに、新規参入企業の大半は、ネットフリックスよりも低価格でサービスを提供しています。

ストリーミング配信に対する関心の低下と競争の激化が重なり、ネットフリックスの会員数の増加見通しは低下しています。経営陣は2022年第1四半期の新規会員数を250万人と見込んでいますが、第1四半期の新規加入者数としては少なくとも過去5年間で最低です。

3. 規模効率の高いビジネスモデル

ネットフリックスのビジネスは、スケールメリットを活かしやすいビジネスモデルです。1本の映画を制作するのに1億ドルかかったとしても、視聴者数が2,500万人でも5,000万人でも、ネットフリックスのコストはさほど変わりません。つまり、加入者が増えて売上が伸びるごとに、利益への押し上げ効果は大きくなるということです。もちろん、コンテンツの制作や購入にかかるコストや、事業を運営する上で必要な各種経費を回収できるだけの規模は最低限必要です。

ネットフリックスの規模の効率性を明白に示すデータとして、同社の営業利益率は2016年の4.3%から2021年には20.9%に上昇しています。同期間に売上高は88億ドルから297億ドルに増加しました。膨大な会員数と収益基盤をベースに、営業利益率は今後も上昇が見込まれます。

幸か不幸かは、既にネットフリックス株を保有しているかどうかによって変わりますが、市場はネットフリックスの会員数の伸びが鈍化していることに着目しており、株価は2021年に付けた過去最高値から、1月に46%安まで落ち込みました。これからネットフリックス株を買おうとしているなら、優れたビジネスモデルの銘柄を安値で買う絶好の機会かもしれません。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Parkev Tatevosianは、記載されているどの銘柄にもポジションを持っていません。モトリーフール米国本社はネットフリックス株を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。