モトリーフール米国本社、2022年3月22日投稿記事より
主なポイント
・米国以外にあるウォルト・ディズニーのテーマパークからもたらされる利益は全体のほんの一部
新型コロナウイルスのパンデミックにより、ウォルト・ディズニー(DIS)に再び影響が及んでいます。同社は3月21日、上海にあるディズニーリゾートとテーマパークを一時閉鎖すると発表しました。周辺地域ではオミクロン株の感染が深刻化しており、感染者数が急増しています。
中国政府は新型コロナウイルスの蔓延を防ぐため、他の主要国よりも厳しい規制を実施しています。中国製ワクチンの効果があまり表れていないこともその一因です。ディズニー施設の閉鎖がいつまで続くのかは分かりませんが、少なくとも今四半期の業績には何らかの影響が予想されます。このことが投資家に及ぼす影響について、詳しく見てみましょう。
上海ディズニーが一時閉鎖
上海ディズニーのホームページに、次のようなお知らせが掲載されています。
「現在の感染状況を鑑み、上海ディズニーランド、ディズニータウン、ウィッシング・スター・パークを含む上海ディズニーリゾートは、3月21日から一時的に閉鎖します。引き続き感染拡大の状況を監視するとともに、現地当局とも協議した上で、営業再開の日程が決まり次第速やかにお知らせいたします。ご不便をお詫びするとともに、閉鎖期間中にご迷惑をおかけしたお客様には、返金または交換の対応をさせていただきます。ご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。まもなくお目にかかれることを心待ちにしております。」
業績への影響という点では、ディズニーが米国外のテーマパークから得ている売上高および営業利益の全体に占める割合は極めて低いということに留意する必要があります。コロナ前の2019年9月期では、米国内のテーマパークからの売上高174億ドル、営業利益44億ドルに対し、海外にあるテーマパークからの売上高は42億ドル、営業利益は5億700万ドルでした。
ウォルト・ディズニーは、上海ディズニー(2022年は開業5周年です)の少数株主です。とはいえ、今回の閉鎖はパンデミックからの回復に水を差すことになります。ウォルト・ディズニーが多くの人々を結び付けることによって収益の大部分を得ていることを考えれば、当然でしょう。
2021年10-12月期の国内テーマパークの売上高は、前年同期の15億ドルから48億ドルへと3倍以上増加しました。同期間に、海外テーマパークの売上高は3億7,800万ドルから8億6,100万ドルへと倍増しました。営業利益は、国内が15億ドル、海外が2,100万ドルと黒字に転じました。
ロックダウンとテーマパーク閉鎖の期間を活用し、経営陣は、レストランでのモバイル注文やデジタル予約システムの導入など、テーマパーク運営の強化に取り組みました。また、入場料、駐車場利用料金、売店の商品の値上げを実施した結果、上述の通り、部門の売上高と利益の好調に大きく寄与しました。
テーマパークの閉鎖はディズニー株を買う好機
全体として、海外テーマパークの1つが一時閉鎖しても、全社の利益に深刻な影響が及ぶことはないと思われます。閉鎖期間中にパークを訪れようと考えていた顧客の一部は、予定を変更して営業再開後に来てくれるはずです。いずれにしても、海外テーマパークがもたらす営業利益は全体のほんの一部にすぎません。今回のニュースでウォルト・ディズニーの株価が下落すれば、長期投資家にとっては安値で買う好機となるでしょう。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Parkev Tatevosianはウォルト・ディズニーの株式を所有しています。モトリーフール米国本社はウォルト・ディズニー株を所有し、推奨しています。モトリーフールは以下のオプションを推奨します。ウォルト・ディズニーの2024年1月満期の145ドルコールのロング、同2024年1月満期の155ドルコールのショート。