東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は小幅に4日続落となりました。85円高の24,876円で寄り付いた日経平均は取引開始から10分余りで32円高の24,822円まで上げ幅を縮めた後切り返すと11時過ぎに293円高の25,084円まで上昇しましたが、伸び悩むと上げ幅を縮め後場に入って13時前には19円高の24,810円まで上げ幅を縮めました。マイナスになることなく踏み止まったことでその後持ち直し13時50分過ぎには一旦201円高の24,992円まで上げ幅を広げましたが、節目の25,000円を前に上値が押さえられると引けにかけて上げ幅を縮め14時50分前にマイナスに転じました。日経平均は大引け間際に109円安の24,681円まで下落すると結局73円安の24,717円で取引を終え昨日に続いて昨年来安値を更新しています。こうしたなか新興市場はまちまちで東証マザーズ指数が下落となった一方で、日経ジャスダック平均は上昇となっています。

2.個別銘柄等

原油など資源価格の高騰が鉱山機械事業の追い風になると期待した買いが入り昨日の米国市場でキャタピラー(CAT)が6%以上上げダウ平均構成銘柄で上昇率トップとなった流れを引き継ぎ日本市場でもコマツ(6301)や日立建機(6305)が高く、コマツが一時5.7%高、日立建機も一時5.6%高となりました。また、再生エネルギー関連のレノバ(9519)も一時10.2%高となりました。欧米の対ロシア制裁で原油価格が高騰したのを受けて代替エネルギーとして太陽光発電の需要が拡大するとの見方から昨日の米国市場で太陽光発電関連の銘柄が大幅高となったことから買いを集めました。

富士通(6702)も5.5%高となりました。過去最大規模の早期退職に関連した費用の計上で通期の純利益の見通しを2050億円から1600億円に下方修正しましたが、人員削減で2023年3月期に固定費を300億円減らす効果が見込まれることから買いが優勢となりました。日本製鉄(5401)も自動車部品や産業機械などに使う特殊鋼棒鋼や線材の販売価格を7月から1トン1万5000円以上引き上げる方針を決めたと伝わったことで収益改善を期待した買いが入り一時3.2%高となっています。

一方で製造派遣大手のUTグループ(2146)が9.0%安となり昨年来安値を更新しました。半導体不足などによる自動車メーカーの生産調整が響き製造派遣事業が下振れすることなどから通期の営業利益の見通しを60億円から57億円に下方修正したことで売りが膨らみました。さらにリコー(7752)が投資判断と目標株価の引き下げを受けて4.9%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は73円安となりました。昨日の米国市場はバイデン米大統領がロシアからの石油や天然ガスの輸入を禁止すると発表するなかインフレが景気を冷やすとの懸念から続落となりましたが、日経平均は昨日までの3日間で1,800円近くも下落していたこともあって自律反発狙いの買いが入り一時は300円近く上げました。しかし、節目の25,000円を小幅に上回ったところで伸び悩むと上げ幅を縮め引けにかけて下落に転じ昨日に続いて昨年来安値を更新しました。マーケットの警戒感は依然として強いといえそうでウクライナ情勢や原油価格などの動向に神経質な展開がしばらくは続くことになりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)