東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は3日続伸となりました。日経平均は309円高の26,836円で寄り付くと10時40分過ぎに486円高の27,013円まで上昇しましたが、節目の27,000円を小幅に上回ったところで上値が押さえられるとその後は徐々に上げ幅を縮める展開となりました。

390円高の26,916円で前場を終えた日経平均は379円高の26,905円で後場の取引をスタートさせると大引け間際に299円高の26,825円まで上げ幅を縮め結局317円高の26,844円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も高く東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇し、東証マザーズ指数は7.0%高となっています。

2.個別銘柄等

商船三井(9104)が一時8.7%高となり昨年来高値を更新しました。1株を3株に分割すると発表したことで流動性の向上や投資家層の拡大を期待した買いを集めました。日本郵船(9101)や川崎汽船(9107)にも思惑買いが広がり、日本郵船が一時4.2%高、川崎汽船も一時6.1%高となりました。ロシアによるウクライナ侵攻を受けて安全保障戦略の見直しが進むとの見方から三菱重工業(7011)やIHI(7013)、川崎重工業(7012)といった防衛関連銘柄にも物色が向かいました。三菱重工業が5.1%高、IHIが3.6%高、川崎重工業も2.7%高となりました。

さらにサプライヤーがサイバー攻撃を受けトヨタ(7203)が国内全工場の稼働停止に追い込まれたことからサイバーセキュリティー関連銘柄が高く、トレンドマイクロ(4704)が5.6%高となったほか、ジャスダック市場ではセキュアヴェイル(3042)とブロードバンドセキュリティ(4398)がストップ高となりました。マザーズ市場でもサイバーセキュリティクラウド(4493)がストップ高となり、FFRIセキュリティ(3692)も21.4%高と急伸となっています。

一方で石油資源開発(1662)が10.4%安となりました。ロシアのサハリン1プロジェクトに参画するサハリン石油ガス開発に出資していることを警戒した売りが出て急落となりました。山口フィナンシャルグループ(8418)が一時3.5%安となりました。含み損を抱える有価証券を圧縮してポートフォリオを再構築するほか、新型コロナウイルスや資源価格高騰の影響が懸念される企業への貸倒引当金を大幅に積み増すことなどで通期の最終損益の見通しを260億円の黒字から135億円の赤字に下方修正したことを嫌気した売りが出ました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は317円高となりました。欧米がロシアの銀行を国際決済網の国際銀行間通信協会(SWIFT)から締め出す方針を打ち出したことなどで昨日の米国市場でダウ平均は下落となりましたが、日本市場はロシアへの制裁強化を昨日に消化済みだったことから新たな売り材料になりにくく買いが優勢となりました。警戒されていた週明けの米国市場の混乱が回避されたこともあって上げ幅を広げ一時は500円近く上昇しましたが、節目の27,000円を小幅に上回ったところでは伸び悩みました。ウクライナ情勢に神経質な展開が続くなかで27,000円を超えてさらに水準を切り上げるかがポイントとなりそうです。

なお、日本時間の2日午前零時には2月の米ISM製造業景況感指数が発表される予定です。また、1日の米国ではバイデン米大統領の一般教書演説が予定されているうえ、セールスフォース・ドットコム(CRM)などが決算を発表する予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)