【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 34,738.06  ▼503.53 (2/11)
NASDAQ: 13,791.15  ▼394.49 (2/11)

1.概況

10日の米国市場は米CPIが高い伸びとなったことや、セントルイス連銀のブラード総裁が7月前半までに合計1.0%の利上げを支持すると述べたこともあって米連邦準備理事会(FRB)による早期の金融引き締め観測が強まりハイテク株に売りが出て3日ぶりに大幅反落となりました。137ドル安でスタートしたダウ平均は直後に290ドル安近くまで下落した後切り返すとプラスに転じましたが、32ドル高で伸び悩むと再びマイナスとなり下げ幅を大きく広げました。取引終盤に667ドル安まで下落したダウ平均は引けにかけてやや持ち直したものの結局526ドル安の35,241ドルで取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も304ポイント安の14,185ポイントとなり2%余りの下落となっています。

先週末の米国市場はロシアのウクライナ侵攻が近いとの見方が広がり大幅続落となりました。26ドル高でスタートしたダウ平均は金融引き締めの加速に慎重なFRB高官の発言が伝わったことで朝方に189ドル高まで上昇しましたが、伸び悩むと午後に入って売りが優勢になり下げ幅を広げ取引終盤には621ドル安まで下落しました。その後引けにかけてやや戻したダウ平均ですが結局503ドル安の34,738ドルで取引を終えています。また、ナスダック総合株価指数も394ポイント安の13,791ポイントとなり3%近い下落となっています。

2.経済指標等

10日に発表となった1月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比7.5%上昇と2021年12月の7.0%上昇から伸びが加速し、1982年2月以来約40年ぶりの高い伸びとなり市場予想も上回りました。一方で先週一週間の米新規失業保険申請件数は前週比1万6000件減の22万3000件となり市場予想を上回る改善となりました。1月の米財政収支は1186億ドルの黒字となっています。また、先週末に発表された米ミシガン大学消費者信頼感指数速報値は61.7と前月から低下し2011年10月以来10年4ヶ月ぶりの低水準となり市場予想を下回りました。

3.業種別動向

10日の業種別S&P500株価指数は11業種全てが下げました。そのなかでも不動産と情報技術が3%近く下落し、公益事業も2%を超える下げとなっています。

先週末の業種別S&P500株価指数は全11業種のうち9業種が下げ、情報技術が3%安となったほか、一般消費財・サービスも3%近く下落しました。また、コミュニケーション・サービスも2%以上下げています。一方でエネルギーと公益事業の2業種が上げ、エネルギーは3%近く上昇しています。

4.個別銘柄動向

10日の米国市場ではハイテク株に売りが出るなか電気自動車のテスラ(TSLA)と、マイクロソフト(MSFT)が3%近く下げたほか、アップル(AAPL)とグーグルの持ち株会社であるアルファベット(GOOGL)も2%以上下落しました。また、半導体株も安くアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)とクアルコム(QCOM)が5%を超える下落となり、エヌビディア(NVDA)とテキサス・インスツルメンツ(TXN)も3%以上下げました。一方で半導体大手のマイクロン・テクノロジー(MU)は同業のウエスタンデジタル(WDC)が日本の2工場で減産すると発表したことで3%を超える上昇となりました。さらにウォルト・ディズニー(DIS)が決算で売上高と1株利益が市場予想を上回ったことで3%以上上げ、ダウ平均構成銘柄で上昇率トップとなっています。

先週末の米国市場では引き続きハイテク株に売りが出て電気自動車のテスラ(TSLA)が5%近く下げ、グーグルの持ち株会社であるアルファベット(GOOGL)とアマゾン・ドット・コム(AMZN)、フェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズ(FB)、動画配信のネットフリックス(NFLX)も3%を超える下落となりました。半導体関連株も安く、半導体製造装置のアプライドマテリアルズ(AMAT)が5%余り下げ、KLA(KLAC)も5%近く下落しました。半導体株ではアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)が10%安となり、エヌビディア(NVDA)も7%を超える下落となりました。クアルコム(QCOM)も5%以上下げ、テキサス・インスツルメンツ(TXN)も3%を超える下落となっています。また、ダウ平均構成銘柄でもセールスフォース・ドットコム(CRM)が4%以上下げ下落率トップとなったほか、マイクロソフト(MSFT)とアップル(AAPL)も2%以上下げています。一方で原油価格の大幅上昇を受けてシェブロン(CVX)が2%高となりダウ平均構成銘柄で上昇率トップとなっています。

5.為替・金利等

10日の長期金利は米CPIが高い伸びとなったことで2年半ぶりに2%台に乗せ0.09%高い2.03%となりました。また、先週末の長期金利はウクライナでの地政学リスクへの警戒感が高まるなか相対的に安全資産とされる米国債が買われ0.09%低い1.94%となりました。ドル円は115円台前半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は米国市場でダウ平均が10日と11日の2日間で1,000ドルを超える大幅な下げとなったことから大きく下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が節目の27,000円を維持できるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)