東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は米国株高を受けて大幅続伸となりました。204円高の27,488円で寄り付いた日経平均は取引開始から5分余りで259円高の27,543円まで上昇した後9時50分過ぎに121円高の27,405円まで上げ幅を縮めましたが、27,400円を割り込むことなく切り返すと246円高の27,530円で前場を終えました。286円高の27,570円でスタートした後場の日経平均は一段高となり大引け間際に348円高の27,633円まで上げ幅を広げた後引けにかけてやや上げ幅を縮めましたが結局295円高の27,579円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も堅調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇となっています。
2.個別銘柄等
シマノ(7309)が一時19.3%上昇しストップ高となる場面がありました。2021年12月期の営業利益が欧米を中心とした新型コロナウイルス禍での高級自転車ブームを背景に大幅な増益となり会社計画や市場予想を上回って着地したうえ、市場予想を大きく上回る2022年12月期の営業利益の見通しを発表したこともあり買いを集めました。AGC(5201)もガラスセグメントが欧州を中心に建築用が堅調に推移することや、自動車用の回復も見込まれることなどから市場予想を上回る2022年12月期の営業利益の見通しを発表したことで9.4%高となっています。
また、第3四半期決算を発表し通期の業績予想を上方修正したJFEホールディングス(5411)やIHI(7013)、日産(7201)などが高く、JFEホールディングスは経済再開を背景に北米を中心に鉄鋼需要が回復していることなどから通期の事業利益の見通しを3600億円から3900億円に引き上げたことで9.0%高となり、IHIも航空エンジンの保守事業が回復していることなどから通期の営業利益の見通しを700億円から800億円に引き上げたことで10.0%高となりました。日産も円安傾向などが追い風となり通期の営業利益の見通しを1800億円から2100億円に引き上げたことで5.7%高となっています。さらに本日の13時25分に第3四半期決算を発表したトヨタ(7203)は0.9%高となりました。決算発表直後に3.5%高まで上げ幅を広げ本日の高値を付けましたが、通期の営業利益の見通しを据え置いたこともあって上げ幅を縮めると0.3%高まで弱含む場面もありました。
一方で第3四半期決算を発表した出光興産(5019)や太平洋セメント(5233)が大幅安となりました。出光興産は通期予想を据え置いたことを失望した売りが出て一時5.2%安となったほか、太平洋セメントは通期の業績予想を下方修正したことで一時6.8%安となり昨年来安値を更新しました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は295円高となりました。昨日の米国市場が米長期金利の上昇を受けて金融株に買いが入り上昇となったことで買いが優勢になると、企業決算を手掛かりとした物色も目立ち上げ幅を広げ27,600円台を上回る場面もありました。節目の27,500円をしっかりと超えてきたことで明日以降の展開に期待が持てそうですが、買いが優勢となった場合には25日移動平均線(27,691円)を超えてさらに水準を切り上げることができるかがポイントとなりそうです。
なお、決算発表が続いていますが本日も引け後に富士フイルムホールディングス(4901)やホンダ(7267)、ヤマトホールディングス(9064)などが決算を発表する予定です。また、9日の米国でもウォルト・ディズニー(DIS)やウーバーテクノロジーズ(UBER)などが決算発表を予定しています。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)