東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は反発となりました。145円安の27,095円で寄り付いた日経平均は取引開始直後にプラスに転じると9時10分過ぎに94円高の27,336円まで上昇しましたが、伸び悩むと再びマイナスとなり10時40分過ぎに165円安の27,075円まで下落しました。しかし、前引けにかけて持ち直し前場を7円安の27,233円で終えた日経平均は54円高の27,295円とプラスに転じて後場の取引をスタートさせると上げ幅を広げ14時30分前に214円高の27,455円まで上昇し結局198円高の27,439円で取引を終えています。こうしたなか新興市場はまちまちで東証マザーズ指数が下落となった一方で、日経ジャスダック平均は上昇となっています。

2.個別銘柄等

第3四半期決算を発表し通期の営業利益の見通しを上方修正した銘柄に大きく上げるものがみられました。任天堂(7974)は半導体不足の影響などでゲーム機のニンテンドースイッチの販売見通しを引き下げましたが、ソフトの販売予想を引き上げたことで通期の営業利益の見通しを5200億円から5600億円に上方修正したことから3.6%高となりました。ニコン(7731)もミラーレスカメラなど高単価のカメラの販売が伸びていることなどから通期の営業利益の見通しを340億円から470億円に引き上げたことで4.5%高となったほか、フジ・メディア・ホールディングス(4676)も新型コロナウイルス禍で落ち込んだ放送事業の広告収入が回復していることなどから通期の営業利益の見通しを275億円から296億円に上方修正したことで7.4%高となりました。

また、政府が早ければ来週にも新型コロナウイルス禍に伴う水際対策の緩和措置について方針を示すと伝わったことで日本航空(9201)とANAホールディングス(9202)が高く、日本航空が4.0%高、ANAホールディングスも2.8%高となっています。

一方で第3四半期の決算を発表した古河電気工業(5801)が一時9.1%安となり昨年来安値を更新しました。主力の自動車部品事業で輸送や材料のコストが上昇したうえ、自動車の減産による影響が出ることなどから通期の営業利益の見通しを200億円から130億円に下方修正したことで売りが膨らみました。花王(4452)も6.4%安となり昨年来安値を更新しました。2021年12月の営業利益が家庭用洗剤や衛生用品の売り上げが減ったことなどで前期比18.3%減となり会社計画を下回り一転して減益となったうえ、2022年12月期の営業利益は115%増と増益を見込むものの市場予想に届かなかったことで売りがかさみました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は198円高となりました。フェイスブックを運営する米メタ・プラットフォームズ(FB)の急落が他のハイテク株にも波及し昨日の米国市場が大幅反落となったことで売りが先行しました。しかし、昨日の米国市場で取引終了後に決算を発表した米アマゾン・ドット・コム(AMZN)が時間外で急伸し米株価指数先物が大幅高となったことで買いが優勢となりました。米雇用統計の発表を今晩に控えていることもあって前場こそ方向感に欠ける展開となりましたが、米株価指数先物が一段高となったこともあって後場に入って上げ幅を広げました。その米雇用統計は日本時間の22時30分に発表となります。3日に英イングランド銀行(中央銀行)が追加利上げを決め、欧州中央銀行(ECB)も年内利上げを排除しない姿勢を示すなど金融引き締めに対する警戒感が高まるなかでの発表となることもあって注目を集めそうです。なお、決算発表が続いていますが本日も引け後にスズキ(7269)やオリンパス(7733)、リコー(7752)、三井不動産(8801)などが決算を発表する予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)