世界の中央銀行の中央銀行と言われる国際決済銀行(BIS)は様々なリサーチを行っています。その中でも3年に一度、世界の中央銀行からデータを集計して発表する 
Triennial Central Bank Survey of Foreign Exchange and  
Derivatives Market Activity
に注目しています。
現在公表されているものが2007年版ですので、今年2010年は最新版が発表されます。BISは11月に発表予定としています。2007年から2010年は、リーマン・ショックをはさみ、世界の市場が大転換を迎えていますので大変興味深いですよね。

BISのHPに最新版の要約がありましたので、いくつかご紹介しましょう。ちなみにデータはいずれも各年4月に集計され、2010年のものは最終発表前ですのでリバイスされる可能性があります。(過去のデータもリバイスの可能性はあり)

まず、為替市場の1営業日平均取引高ですが、2001年 1.2兆ドル、2004年 1.9兆ドル、2007年 3.3兆ドルに対し、2010年は20%増加の約4兆ドルとのことです。その要因としてスポット(現物)取引が48%増えていることがあげられています。FX取引参加者の急増もスポット取引増加の要因と言えるでしょう。

通貨の取引量ですが、面白いことに世界の基軸通貨である米ドルが2001年の調査から少しずつですが減ってきているとのことです。替わりにユーロや円が増えてきて、対ドルの基本レート以外のクロスレート、クロス円レートの存在感が市場で大きくなってきていることがわかります。
よく取引される通貨の中では、豪ドルとカナダドルがマーケットシェアを伸ばし、英ポンドとスイスフランが減ってきているとのこと。資源国通貨に対する市場の注目を感じるデータですね。
そして新興国通貨の伸びが目覚ましく、中でもトルコリラと韓国ウォンが大きくシェアを伸ばしたということです。

主要市場の取引高の順位は1位 英国(36.7%)、2位 米国(18%) 、3位日本(6%)、4位 シンガポール(5%)、スイス(5%)、香港(5%) 、7位 オーストラリア(4%) となっており、2001年以来その顔ぶれはほとんど変わっていません。ただ、英国は2007年の34.6%からシェアを増やし、米国も16.6%→18%と増やしています。他の国は2007年と同率もしくはシェアを下げています。(スイスは2007年には日本より上位の3位でした。)

為替市場は24時間とはいうものの、市場が集中されると流動性も大きく変わります。流動性が十分になければ為替レートが飛んでしまったり、ワイドになったりとリスクは高まります。FXを行う際に、取引や注文をおく時間帯をより意識していく必要が出てくるかもしれませんね。

廣澤 知子

ファイナンシャル・プランナー

CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員