【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ:  35,813.80   △194.55  ( 11/23 )
NASDAQ:  15,775.14   ▼79.62  ( 11/23 )

1.概況

22日の米国市場は高安まちまちとなりました。ダウ平均はバイデン米大統領が米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長を再任する方針を発表したことを好感して小幅に上昇しましたが、長期金利の上昇を受けてハイテク株に売りが出てS&P500株価指数とナスダック総合株価指数は下落となりました。

29ドル高でスタートしたダウ平均は堅調に推移すると取引終盤に327ドル高まで上昇しましたが、引けにかけて急速に上げ幅を縮めると結局17ドル高の35,619ドルで取引を終え4日ぶりに反発となっています。一方でS&P500株価指数が15ポイント安の4,682ポイントと続落となったほか、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も202ポイント安の15,854ポイントと3日ぶりに反落となっています。

昨日の米国市場も高安まちまちとなりました。ダウ平均とS&P500株価指数は長期金利の一段の上昇を受けて金融株が買われたことで上昇となりましたが、ナスダック総合株価指数は長期金利の上昇を受けてハイテク株に売りが出て下落となりました。ほほ横ばいでスタートしたダウ平均は前日終値を挟んで揉み合う展開が続きましたが、取引終盤に買いが優勢になると上げ幅を広げ結局194ドル高の35,813ドルで取引を終え続伸となっています。また、S&P500株価指数も7ポイント高の4,690ポイントとなり3日ぶりに反発となりました。一方でナスダック総合株価指数は79ポイント安の15,775ポイントと続落となっています。

2.経済指標等

22日に発表となった10月の米中古住宅販売件数は年率換算で前月比0.8%増の634万戸となり市場予想を上回りました。また、昨日に発表となった米製造業PMI速報値も59.1と前月から上昇し市場予想を上回りました。

3.業種別動向

22日の業種別S&P500株価指数は全11業種のうち6業種が上げ、エネルギーが2%近く上昇したほか、金融も1%以上上げました。一方で5業種が下げ、コミュニケーション・サービスと情報技術が1%を超える下落となりました。昨日の業種別S&P500株価指数は全11業種のうち8業種が上げ、エネルギーが3%高となったほか、金融と不動産も1%以上上昇しました。一方で一般消費財・サービスとコミュニケーション・サービス、情報技術の3業種が下げています。

4.個別銘柄動向

22日の米国市場でダウ平均構成銘柄ではトラベラーズ(TRV)が3%近く上げ上昇率トップとなったほか、シスコシステムズ(CSCO)とダウ(DOW)、ゴールドマン・サックス(GS)、JPモルガン・チェース(JPM)も2%以上上げました、一方でビザ(V)が2%以上下げ下落率トップとなり、ボーイング(BA)も2%近く下げています。

ダウ平均構成銘柄以外では、長期金利の上昇を受けてハイテク株が売られるなかアマゾン・ドット・コム(AMZN)と動画配信のネットフリックス(NFLX)が3%近く下げています。また、電気自動車のリヴィアン・オートモーティブ(RIVN)もフォード・モーター(F)との電気自動車の共同開発計画を打ち切ったと明らかにしたことで8%余り下げています。電気自動車のテスラ(TSLA)はイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が最上位車種のモデルSプレイドを中国で来年春に発売する可能性を示唆したことで2%近く上げています。

昨日の米国市場でダウ平均構成銘柄では長期金利の上昇を受けてゴールドマン・サックス(GS)が2%を超える上昇となり上昇率トップとなったほか、JPモルガン・チェース(JPM)も2%以上上げ、ゴールドマン・サックスに次ぐ上昇率となっています。また、ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)とトラベラーズ(TRV)、シェブロン(CVX)も2%を上回る上昇となっています。一方でウォルト・ディズニー(DIS)が2%安となり、セールスフォース・ドットコム(CRM)も2%近く下落しています。

ダウ平均構成銘柄以外では家電量販店のベストバイ(BBY)が12%以上下げました。決算は市場予想を上回る増収増益となりましたが、業績の見通しが市場予想を下回ったことで売りがかさみました。ビデオ会議システムのズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)も決算で2021年11月-2022年1月期の増収率が鈍化する見通しを示したことで急落し15%近く下落しています。半導体大手のウエスタンデジタル(WDC)は投資判断と目標株価の引き上げを受けて6%以上上げています。

5.為替・金利等

22日の長期金利はバイデン米大統領がFRBのパウエル議長を再任する方針を発表したことで緩和策の縮小に動く金融政策に転換はないと受け止められたことで0.07%高い1.62%となりました。昨日の長期金利は上昇が続き0.05%高い1.67%となりました。ドル円は米長期金の上昇を受けて円安が進み115円台前半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は米国市場でナスダック総合株価指数が続落となったことから軟調なスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が5日移動平均線(22日時点で29,723円)などを支えに下げ渋り底堅さをみせるかがポイントとなりそうです。

( マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)