米ドル/円 日足

週間予想レンジ:113.50~115.50

メインストラテジー:押し目買い

・波乱でも強気維持
・115円関門は通過点
・高値更新に再挑戦

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週一旦115円関門寸前までトライしたものの、一旦失敗する形で反落し、週足では「スパイクハイ」風の陽線で大引けした。高値圏における波乱があったものの、強気構造自体の変化が見られないため、従来の見通しを維持していきたい。

なにしろ、先々週の足型の重要性が、先週の高値更新をもって証明されたところが大きい。先々週112.71円の陽線を形成、また調整完了を示し、これから高値追いしやすい展開といったところも想定通りで、先週の高値更新自体がその途中のサインだと見なされた。言い換えれば、調整の流れが先々週すでに修正された以上、高値圏における波乱があっても「コップの中の嵐」と位置付ける。

調整の流れを一転させたのは11月10日の大陽線であった。同日10月米消費者物価指数(CPI)の伸び率が、31年ぶりに高い水準を示したことで米金利の再上昇と連動した米ドル買いが見られたため、従来の「円売り」から新たな「米ドル買い」局面へのシフトが示唆される。つまる所、米インフレ傾向の強まりでしばらく米ドル買いが優勢の展開となり、米ドル全体の強さと相まって、最弱の円の位置付けが一段と鮮明になってきた。

本コラムの視点としては、10月28日の安値でまた113円関門の割り込みがあったものの、それは一時的なもので、11月10日に大幅な切り返しを果たしたため、下値トライ自体が「フォールス・ブレイクアウト」のサインを灯しており、これからの高値トライを示唆するサインとして重視してきたわけで、先週の高値更新を自然な成り行きと見ている。

そのため、11月17日の大陰線は、高値更新後に反落となり、また「弱気リバーサル」のサインを点灯してから11月19日の陰線をもたらしたが、高値保ち合いの一環として大袈裟に解釈すべきではない。支配的な構造はなお強気変動の延長を支持しており、これから再度114円半ばのトライをもって強まるだろう。

そもそも2017年以来の高値更新を果たし、また2018年高値へ接近したこと自体、上昇波の加速を示唆していた。大局として観ると、これまで繰り返し述べてきたように、年初来安値を起点とした上昇波は推進波であり、2015年から形成されてきた大型保ち合いの突破を確認した後、円安の本流を牽引する形で米ドル/円の大幅上昇が続き、これから一段と上値余地が拡大するだろう。

2011年~2015年のような強いラリーの再現があれば、今後2,3年の米ドル高/円安の流れが一段と強化される可能性も大きく、2015年高値の125.86円のブレイクも視野に入る。

今週再度115円関門の打診があれば、115円半ばのトライに繋がり、また一気した上放れがなくても117~118円といった上値余地の拡大につながる。調整波の先行があったからこそ、米ドル/円はもはや「買われ過ぎ」の状況ではなく、115円関門は通過点に過ぎない。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ:82.00~84.00

メインストラテジー:押し目買い

・豪ドル安は連騰後の反動
・連続反落自体が限界を迎える
・深押しでも許容範囲に留まる

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週続落し、連続3週間の陰線引けで一旦82円関門に接近、想定よりさらに深い調整を果たした。ただし、既に述べたように、円高より豪ドル安というポイントは見逃せない上、商品通貨対円の優位性自体は維持される公算が大きく、スピード調整の値幅拡大があったからこそ、中期スパンの視点において、再度押し目買いの好機に恵まれる、という見方は変わらない。調整波の拡大があったとはいえ、なお許容範囲に留まっており、今週は底打ちを探る展開になりやすいと見ている。

豪ドルの軟調は、オーストラリア準備銀行の政策金利据え置き、また早期利上げ観測の一旦低下がもっとも大きな背景であった。その上、先週までの続落は、円売りポジションの整理が先行したことを示しており、82円関門に一旦接近するまで深めたため、すでに一巡したと見ている。下落モメンタムの低下さえあれば、自然に底打ちされやすいのではないだろうか。

そもそも、反落幅の継続は、10月第3週の「弱気サイン」を否定できなかったところも大きかった。日足では、11月2日の反落、またその前の「IOI」のサインが下放れを果たし、11月4日の「弱気リバーサル」というサインの継続もあって、先々週一旦83円関門の割り込みをもたらしたわけである。先週の続落は、11月16日の高値トライが失敗したところが大きく、「フォールス・ブレイクアウト」のサインを点灯してから一段の続落をもたらし、11月19日の陰線も当面の「売り尽くし」を示唆していた。

もっとも、反落波自体はあくまでスピード調整と見なし、また同反落波の拡大があっても過大評価すべきではないことも繰り返し述べてきた。そもそも9月22日からの上昇は、10月21日高値までほぼ一本調子であったため、10月21日高値をトライしてからの反落は、むしろ大分遅れてきた調整だと思われる。言い換えれば、連続3週間の反落はその前に連騰した値動きに対する反動であり、値幅の拡大があっても調整波の位置付け自体は変わらない。

さらに、我々の見通しの通り、年初来高値の再更新はむしろ既定路線だったからこそ、高値更新を果たした後のロング筋の利益確定も容易に推測できた。そのため、調整波の先行があっても自然な成り行きであり、先週までの続落は、すでに調整の限界に達しつつあり、今週下落モメンタムの低下さえあれば、底打ちしやすいのではないかと見ている。

繰り返し述べてきたように、商品通貨として先行したカナダドル、NZドルに続き、豪ドル対円の高値更新がむしろ出遅れており、多少「買われ過ぎ」のサインがあってもオーバーしたとは言えない。また、連続3週間の調整があったからこそ、「買われ過ぎ」の現象が大分修正され、むしろ「適切」な水準より「割安」な段階に来ているように見える。商品通貨としての優位性がしばらく維持され、円の最弱通貨という位置付けが変わらない以上、年初来の高値更新を果たした後でも高値圏での保ち合いを維持し、これからさらなる上値余地を拡大する公算が大きい。

一方、底固めがこれから図られるとしても、先週続落した分早期ブルトレンドへ復帰するハードルも低くはないと見ている。まず、11月19日高値の83.38円、その後11月16日高値の84.18円のブレイクがまず条件であり、これらが確認されないうちは、底打ちに成功したとは言えない。下値余地限定でもなお安値圏での保ち合いに留まる可能性も大きい。

さらに、本格的な上値を追う環境に復帰するには、まず11月4日高値の85.22円の回復が先決条件であり、その後11月2日高値の85.93円のブレイクを重要なサインとみなすため、早期に実現はできないかもしれない。この意味合いにおいて、反落波の一服があっても底固めするには時間がかかる見通しで、まず底固めのサインをしっかり確認してからエントリーしても遅くないだろう。