【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 36,079.94 ▼240.04 ( 11/10 )
NASDAQ: 15,622.71 ▼263.84 ( 11/10 )
1.概況
米国市場は米消費者物価指数が高い伸びとなったことでインフレ懸念が強まり続落となりました。20ドル安でスタートしたダウ平均は朝方にプラスとなる場面もありましたが、26ドル高で伸び悩むと売りが優勢となり午後に入って下げ幅を大きく広げ取引終盤には310ドル安まで下落しました。その後引けにかけてやや持ち直したダウ平均ですが結局240ドル安の36,079ドルで取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も263ポイント安の15,622ポイントとなっています。
2.経済指標等
10月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比6.2%上昇し1990年11月以来約31年ぶりの高い伸びとなり市場予想も上回りました。また、9月の米卸売在庫は前月比1.4%増となり市場予想を上回りました。米卸売売上高も前月比1.1%増となり市場予想を上回っています。一方で先週一週間の米新規失業保険申請件数は前週比4000件減の26万7000件となりましたが市場予想ほど改善しませんでした。10月の米財政収支は1650億ドルの赤字となっています。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全11業種のうち8業種が下げ、エネルギーが3%近く下落したほか、情報技術とコミュニケーション・サービスも1%を超える下げとなりました。一方で公益事業と生活必需品、ヘルスケアの3業種が上げています。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄ではセールスフォース・ドットコム(CRM)とナイキ(NKE)が3%を超える下落となったほか、アップル(AAPL)も2%近く下げました。シェブロン(CVX)とゴールドマン・サックス(GS)、マイクロソフト(MSFT)、キャタピラー(CAT)、ボーイング(BA)も1%以上下落しています。一方でメルク(MRK)とビザ(V)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)が1%以上上げています。ダウ平均構成銘柄以外では半導体株の下落が目立ち、アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)が6%余り下げたうえ、エヌビディア(NVDA)とクアルコム(QCOM)も4%前後の下落となっています。マイクロン・テクノロジー(MU)も3%近く下げました。マスターカード(MA)は後払い決済サービスへの参入を本格化する方針を示したことで4%近く上昇しています。電気自動車のテスラ(TSLA)も目標株価の引き上げを受けて4%以上上げています。
5.為替・金利等
長期金利は米CPIが高い伸びとなったことで0.11%高い1.55%となりました。ドル円は円安に振れ113円90銭台で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
本日の日本市場は米国株安を受けて軟調なスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が節目の29,000円を前に底堅さをみせるかがポイントとなりそうです。
( マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)