決算発表シーズンの中、強かった10月の米国株

米国企業の第3四半期の決算発表の最中、10月の米国株は高く終わりました。10月はS&P500は6.9%、ダウは5.8%、ナスダック総合は7.3%それぞれ上昇しました。

ダウ工業株価指数が先週10月26日に、また、10月29日にはS&P500とナスダック総合が史上最高値を更新しました。第3四半期の決算発表は無事半分を終了しました。先週末までにS&P500指数採用銘柄のうち279社が第3四半期の決算発表を終えています。その結果はというと前年同期比で38.9%の増益、82%の企業が事前予想を上回りました。

先週も記載した通り、今回の決算発表は事前予想では30%の増益が期待されていましたので、9%ポイント事前予想を上回りました。ただ前回の決算発表では86%の企業が事前予想を上回っています。ですから今回のこの82%という数字は必ずしも良い数字ではありません。

今回株価が上昇した理由としては、5%を超える市場の調整後、決算の見通しに下方修正が起き、その予想を上回りやすかったことが考えられます。今回の決算発表については、サプライチェーン、インフレ、人手不足などの周知の問題があることで事前の期待感は高くなく、今回の決算は弱そうだという投資家の心の準備もできていたところで、実際に蓋を開けてみれば悲観していた予想よりも決算が良かったため、株価も上がりやすい環境が整っていたと考えられます。

GAFAM決算発表のハイライト

先週(10月25日週)は今回の決算発表のハイライトとも言えるGAFAM(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)企業の決算発表が行われました。
先週のマーケットの上げをサポートしたのが、先週決算発表を受けて上昇したアルファベット(GOOG, GOOGL)とマイクロソフト(MSFT)でした。先週1週間でアルファベットは4.1%上昇、好決算を受けマイクロソフトの株価は10.8%上昇、アップルの時価総額を抜いてしまいました。

アップル(AAPL)は株価が下落しましたが、今回の決算の問題はアップルの製品が売れなかったということではなく、サプライチェーンの問題という供給の問題でした。このような理由での株価の下げは買いの機会だと考えています。

フェイスブックは、イメージ刷新を狙い社名を「メタ」へと変更すると発表しました。このメタとは、メタバースのメタです。メタバースとは、英語の「超越(meta)」と「宇宙(universe)」を組み合わせた造語で、フェイスブックの説明によると「メタバースは、現在の様々なオンライン上でのソーシャル体験を掛け合わせたようなものになります。時には3次元に拡張され、時には現実世界に投影される、それがメタバースです」としています。今回の社名変更により、12月1日から同社のティッカーシンボルもこれまでのFBからMVRSへ変更されることになります。

テスラ(TSLA)、時価総額1兆ドルの大台に

2021年に入って株価のパフォーマンスが冴えなかったテスラですが、同社は10月には事前予想を上回る第3四半期の販売台数の発表、また先週はレンタル会社のハーツが10万台の注文を入れたことなどを受け、10月の1ヶ月間で株価は44%上昇、時価総額は1兆ドルの大台に乗せました。これにより、テスラはフェイスブックの時価総額を抜いて、米国で4番目に大きな会社の座を獲得しました。このテスラの上昇もS&P500やナスダック総合の時価総額が高値を更新した理由の1つです。

グロース銘柄が相場を牽引し、年末に向けて米国株は上昇を継続か

今週はS&P500社のうち153社の決算発表が予定されています。

また、今週はISM製造業・非製造業景気指数や10月の雇用統計のマクロ指標の発表に加えてFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されます。

FOMCでは、テーパリングのスケジュールが発表されることになるでしょう。ただこれに関して、マーケットは既に織り込み済みであり、実際の発表はノン・イベントとなると思われます。インフレ懸念が高まる中、マーケットは利上げの時期がどうなるのかの確認ができるでしょう。

今後のことですが、私は11月もこのマーケットのモメンタムは継続し、グロース銘柄が相場を牽引し年末に向けて米国株は上昇を継続するものと考えています。
米国では11月からの3ヶ月は1年間の中で最も株価の強い3ヶ月というデータもサポートの要因となります。