東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は続落となりました。226円安の28,871円で寄り付いた日経平均は直後に203円安の28,895円までやや戻した後下げ幅を広げると取引開始から10分余りで405円安の28,693円まで下落しましたが、朝方の売り一巡後に持ち直すと11時20分前に203円安の28,894円まで戻し272円安の28,825円で前場を終えました。
297円安の28,800円でスタートした後場の日経平均はまもなくして313円安の28,784円まで下落した後下げ幅を縮めると結局278円安の28,820円で取引を終えています。一方で新興市場は堅調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇となっています。
2.個別銘柄等
上期決算を発表したSCREENホールディングス(7735)が8.2%高となりました。半導体メーカーの設備投資意欲が強く半導体製造装置の受注が過去最高ペースとなっていることから通期の営業利益の見通しを445億円から市場予想を上回り545億円に引き上げたことで買いを集めました。同じく上期決算を発表した野村総合研究所(4307)や日本特殊陶業(5334)も市場予想を上回る上方修正に踏み切ったことで高く、野村総合研究所が8.0%高、日本特殊陶業も4.1%高となっています。
信越化学工業(4063)も2.9%高となりました。通期の業績予想は据え置きましたが、塩化ビニール樹脂で北米の旺盛な需要を受けて値上げが浸透したことや、シリコンウエハーも好調だったことから上期の営業利益が前年同期比で61.9%増となり市場予想を上回ったことが好感されました。
一方で上期決算を発表した日立(6501)が一時5.2%安となりました。半導体不足の影響で自動車部品が苦戦していることから通期の調整後営業利益を7400億円から7230億円に引き下げたことが嫌気されました。同じく上期決算を発表したファナック(6954)も半導体などの部品不足を受けてロボットや数値制御装置などの生産が停滞していることから通期の営業利益の見通しを下方修正したことで8.7%安となっています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は278円安となりました。昨日の米国市場でダウ平均が260ドル以上下げたことで売りが優勢となり節目の29,000円を割り込みました。29,000円を回復すると押し戻される展開が続いているだけに上値の重さが意識されそうで、200日移動平均線(28,834円)も小幅に下回ったことで下値への警戒感もやや意識されそうです。
なお、決算発表が本格化していますが本日も引け後にはソニーグループ(6758)やパナソニック(6752)、コマツ(6301)、アドバンテスト(6857)など注目度の高い企業が決算を発表する予定で、28日の米国でもアップル(AAPL)やアマゾン・ドット・コム(AMZN)、キャタピラー(CAT)などが決算発表を予定しています。
また、本日の昼前に発表となった日銀の金融政策決定会合の結果は現状維持となりましたが、日本時間の20時45分には欧州中央銀行(ECB)理事会の結果が発表される予定です。さらに21時30分には7-9月期の米GDP速報値や米新規失業保険申請件数などが発表される予定で、重要イベントが目白押しとなっています。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)