本当に*歳までに提案された通りのことをすれば、誰でも思うように成功するのでしょうか?「頑張り」さえすれば、人生は思うようになるのでしょうか?
もちろん人が努力することを否定する気は毛頭ありません。人生は1回きり、限られた時間ですから何事も早く取りかかったほうが有利だとも思います。
もし人生の成功=お金持ち=豊かな生活だ、という方であれば、たしかに時間(つまりなるべく人生の早いタイミングにスタートすること)とある程度の知識、知恵、それを使う努力はあった方がプラスになるでしょう。
でもこれも、その人次第、時代背景(景気、経済動向)などに左右されますから、残念ながら「必ず」とはいえません。
バブル崩壊からちょっとの回復期を除けば長く続くデフレ、と日本経済は浮上しきれないままです。成長過程にある外国への投資も、値動きが大きいため利食いや損切りのタイミング一つで、投資成果は大きく異なってきてしまうもの。長期投資をしているのに、投資の成果が上がらない、資産が増えない、という声も残念ながら耳にします。
でも、そんな中でも、コツコツと情報を集め、新しいことを学び、研究をし、定期的に機械的に(感情に振り回されずに)ポートフォリオの見直しをしている方は何もしない方よりは成果は上がっているでしょうし、今後も違ってくると思います。
「お金を(多少なりとも)殖やす」ことを目的にするには時間を武器に、学ぶ姿勢を持ち続ける=努力することは意味をもつとは思います。
ただ、冒頭の啓蒙書のタイトルにあるような「成功」となると個人的には少々疑問を感じます。また「*歳までに」と年齢を区切っている場合、その年齢を超えた人はもうアウトということになるのでしょうか?
現代では個々人が自由に人生、生き方を選択することが可能です。学業、仕事、結婚、出産など、原則的には個人で選ぶことができますし、その時期も個々人に任されています。(もちろん世の中の経済状況等により、選択肢が狭まってしまうことはあります。)
であれば、「*歳までに」と年齢で区切られることがどれだけの意味を持つのでしょうか。早く始める方が有利な場合も多いけれど、何かを始めるに遅すぎることはないと思うのです。
何をもって「成功」とするかもその人次第。人から見える成功=幸せとも限らないのではないでしょうか?
日本では長時間休まず働いたり、自分に鞭打って目標に向かってまい進することを美徳とするようなところがあるようです。誰もかれも「頑張って」いる人ばかり。その上「もっと頑張りなさい、頑張らないと成功しませんよ。」と言われては、追い立てられるような気がしてきませんか?
「頑張りすぎない」ことで、精神的なゆとりを持ち、思い立ったときにスタートし、無理をしない範囲で努力と継続をする。いかがでしょう?精神的なゆとりをもつことはいろいろな面でプラスにもなってくるでしょう。
来年こそは...と今から気合を入れている方、もう遅いのでは...と焦っている方もいるかもしれませんが、少し肩の力を抜いて新年を迎える準備をしてみるのも良いかもしれませんよ。
廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー