確定申告は来年2月からですからまだ少し先になりますが、今年分(1月~12月末分)の上場株式等の取引について再度確認しておくとよい税制について記したいと思います。

税金は「ややこしい」と感じる方がほとんどではないでしょうか?
税法について書いてあるものを読んでも、なんだかピンとこない、複雑な専門用語が多いと感じますよね。これは金融、経済の専門用語と同様で、残念ながら覚えていくしかないのですが、それでも知ることによって生活に役に立つことも多いのです。けっして「脱税」ではなく、正規の「節税」です。ぜひともおトクな税制については知っておくようにしましょう。

今回ご紹介するのは、すでにご存じの方も多いかと思いますが、今年になって創設された新証券税制のうちの一つで、「上場株式等に係る譲渡損失と配当等の損益通算」です。
これまではどれだけ株式売買で損失を出しても、配当等の収入分からはしっかり源泉徴収(10% 2012年以降は20%)されていました。
それが、「上場株式等(国内株式投資信託を含む)に係る譲渡損失の金額と上場株式等の配当等(株式投資信託の分配金を含む)に係る配当所得(申告分離課税を選択したものに限る)の金額との損益通算ができる」ことになったのです。

もちろん、上場株式等や株式投資信託の売却益と売却損は、従来通り損益通算することができることは変わりません。損益通算の結果損失となった場合は、確定申告により損失を3年間繰り越し、翌年以降3年間の上場株式等や株式投資信託の売却益と相殺することが可能です。
この損益通算の対象が拡大した、と考えていただければよいでしょう。

今年も株式市場は荒れ模様が続きました。思いがけない損切りをせざるをえず、売却損を抱えてしまった方もいらっしゃることでしょう。その損失と株式の配当や株式投資信託の分配金を相殺できることは節税効果として大きいとは思いませんか。ただ、注意していただきたいのは、下記の2点です。

● 配当所得を申告分離課税にする必要がある

● 今年(2009年)分については確定申告をする必要がある

来年度(2010年分)については源泉徴収ありの特定口座内で自動的に処理をしてもらえますが、今年分については自身で確定申告をする必要があるものです。今回の新税制の対象となりうる方には「節税」となる朗報です。確定申告は難しそう、面倒くさいといってしないと損をしてしますから、ぜひ注意してくださいね。
マネックス証券のHPにも記載がありますので、ぜひもう一度目を通しておかれることをお勧めします。

【更新】2009年以降の税制が変わります
http://www.monex.co.jp/AboutUs/00000000/guest/G800/new2009/news905c.htm
えっ?税金がもどってくるってほんと!? - 損益通算って何?
http://www.monex.co.jp/AboutUs/00000000/guest/G800/new2009/news9111.htm
【税制改正】特定口座(源泉徴収あり)のお客さまへの重要なお知らせ
http://www.monex.co.jp/AboutUs/00000000/guest/G800/new2009/news911q.htm

廣澤 知子

ファイナンシャル・プランナー