今週8日からG8サミット(主要8カ国首脳会議)がイタリアのラクイラで開かれます。
サミットというのは英語で「山頂」を意味しますが、「首脳」という立場を山頂に見立てて、世界の首脳が集まる会議なのでサミットと呼ばれるようになったといいます。 

1970年代のオイルショック以降の世界的不況時にフランス大統領の提案で先進諸国の首脳会議が開催されたのが始まりということですが、当初はフランス、
西ドイツ、英国、米国、イタリア、日本の6カ国、翌年カナダが参加しG7となりました。90年代に入り、ロシア(当時 ソ連)が部分的に参加し始め、1998年にはG8と呼ばれるようになったのです。

このG8ですが、最近は招待される国が増えてきているのをご存知の方も多いと思います。世界経済がよりボーダーレスになり、新興国が台頭してきている今、世界の政治・経済の話し合いをG8参加国だけで済ませるわけには行かなくなっているのが実態です。ここ数年はブラジル、インド、中国、南アフリカ、メキシコといった経済で注目されている諸国は繰り返し招待されるようになっています。
実は1999年より「G7+欧州連合+新興国12カ国の20カ国・地域の財務大臣、中央銀行総裁による会合は開催されています。これら20参加国のGDPを合計すると現在、世界のGDPの90%を占めるといいます。
昨年からは上記20参加国の首脳参加による「金融サミット」、別名G20と呼ばれる会合も開催されています。いずれも中東、アジア、アフリカにもまたがった参加国による意見交換は経済という視点から見ると実践的にはより意義があるといえるでしょう。

今回のラクイラ・サミットも次回のG20金融サミットに向けての各国の確認の場としての位置づけが強いようです。前述したように現在の世界経済の舵を経済成長状況からいえば「先進」とは言い難くなってきているわずか8カ国の首脳によっての議論で方向付けをすることは難しくなってきています。
そのうえ参加8カ国はいずれも昨年の世界金融危機以降、自国経済の建て直しの舵取り真っ最中で、待ったなしの状況です。経済問題については前向きな提言を行うことより、不用意な発言による市場へのマイナス・インパクトを出してしまうことを恐れて神経質になっているかもしれませんね。

市場においては今週のラクイラ・サミットを重要視している様子はあまりありません。日本株市場は予想していた通りとはいえ、日経平均は10,000円が非常に重く、上抜けしてくるような材料は見えません。本日も大引けで下落となりましたが、かといって9000円を割り込む値崩れを起こしそうな気配には見えません。短期間に急加速した相場の行く末を市場が様子見している、といった感じなのでしょう。
ですが、市場に期待がないこういうときこそ、サミット参加首脳陣が注意しているであろう発言によるインパクトなどが起きる可能性も高いため、ぜひサミット
についても注意して見ておきたいものですね。

廣澤 知子
マネックス証券 シニア・フィナンシャル・アドバイザー