東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は小幅に4日続落となりました。24円高の29,569円で寄り付いた日経平均はしばらく昨日の終値を挟んで小幅に揉み合った後下げ幅を広げると10時40分過ぎに232円安の29,311円まで下落しましたが、やや持ち直すと104円安の29,439円で前場を終えました。
144円安の29,399円でスタートした後場の日経平均は直後に163円安の29,380円まで下落した後持ち直し14時過ぎに77円高の29,622円まで上昇しましたが、買いが続かず伸び悩むとマイナスに転じ結局91円安の29,452円で取引を終えています。こうしたなか新興市場はまちまちで東証マザーズ指数が上昇した一方で、日経ジャスダック平均は下落となっています。
2.個別銘柄等
塩野義製薬(4507)が一時6.6%高となり年初来高値を更新しました。開発中の新型コロナウイルスの治療用飲み薬について2021年中の承認申請を目指し、2022年3月までに国内で100万人分を生産すると明らかにしたことで大幅高となりました。三菱ケミカルホールディングス(4188)も子会社である田辺三菱製薬が低コストで量産しやすく変異ウイルスにも対応しやすい世界初となる植物由来の新型コロナワクチンを日本に投入する計画を固めたと伝わったことで一時4.6%高となっています。
日本電気硝子(5214)も10.2%高となりました。主力の薄型パネルディスプレイ用ガラスやガラスファイバーを中心に堅調な需要が続いていることなどから通期の営業利益の見通しを280億円から340億円に引き上げたうえ、自己株式を除く発行済み株式総数の5.2%にあたる500万株と100億円を上限とする自社株買いを発表したことで買いを集めました。
また、緊急事態宣言とまん延防止等重点措置の全面解除を好感した買いが続きJR東日本(9020)が4.1%高となり、JR西日本(9021)も3.4%高となりました。オープンドア(3926)やエアトリ(6191)といった旅行関連も高く、オープンドアが6.3%高、エアトリも12.8%高となり揃って年初来高値を更新しています。一方で利益確定の売りが出て海運大手3社が急落し、日本郵船(9101)が9.5%安、商船三井(9104)が10.5%安、川崎汽船(9107)も11.6%安となっています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は91円安となりました。昨日の米国市場でダウ平均が小幅ながら反発したことやドル円が112円近辺まで円安となっていたこともあって小幅に上昇する場面もありましたが、伸び悩むと売りが優勢となり10時に発表された9月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)が49.6と景気判断の節目となる50を1年7ヶ月ぶりに下回ったこともあって節目の29,500円だけでなく、25日移動平均線(29,474円)も割り込みました。そのため下値への警戒感がやや意識されそうですが、この4日間で800円近くも下げていることから明日以降の切り返しに期待したいところです。
なお、今週から小売り企業を中心とした2月決算企業の上期決算が徐々に本格化していますが本日も引け後にニトリホールディングス(9843)やアダストリア(2685)などが決算を発表する予定です。また、日本時間の21時30分には4-6月期の米GDP確報値や米新規失業保険申請件数が発表されるほか、22時45分には9月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)が発表される予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)