そこで、あくまで一般論として、家庭の大黒柱が亡くなってしまったときの社会保障等についてご案内しましょう。生活をしていく上では基本となる「住居」・「収入」の2点をどうするかが、目先の大きな問題となりますね。
<住居>
・持家の場合
住宅ローンが残っている場合、通常は団体信用保険に加入しているはずですので、ローン残高に対して保険が適用されるため、今後のローン支払いはなくなりますので、心配はいりません。ただし、毎年発生する固定資産税、マンションの場合は修繕積立費や管理費といったランニングコストはかかりますので、支出予定として把握しておく必要があります。
・賃貸の場合
家賃支払いが継続できる場合は、借主の変更等速やかに不動産屋さんに知らせる必要があります。家賃負担が生活を逼迫するような状況になる場合は、転居の必要が出てきます。
以前に若いご夫婦からライフプランの相談を受けた際に、万一のときは奥様はご実家に身を寄せるとおっしゃっていました。お子さんが小さいときなどどうしても親族に頼る方も多いと思います。
・社宅の場合
ある一定の猶予期間はあると思いますが、ご主人が会社に所属しなくなってしまったら転出する必要があります。
上記賃貸の場合と同様になります。
<収入・・・遺族年金、生命保険など>
・遺族年金
ご主人が国民年金もしくは厚生年金の被保険者もしくは一定の要件を満たした場合、以下の遺族年金が遺族に支給されます。
18歳未満のお子さんがいる場合(正確には「18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子」もしくは「20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子」)は、遺族基礎年金が支給されます。ご主人が会社勤めだった場合は、遺族基礎年金に上乗せして遺族厚生年金も支給されます。
上記規定のお子さんがいない場合で、ご主人が厚生年金加入者であった場合は遺族厚生年金のみの支給(妻の年齢によっては「中高齢寡婦加算」があります)となりますが、ご主人が自営業等の場合はどちらの遺族年金も支給されません。ただし「死亡一時金」が支払われます。(要件によっては「寡婦年金」が支給されることがあります。)
それぞれの遺族年金の金額は、下記になります。
遺族基礎年金: 792,100円(平成21年度)+子の加算
遺族厚生年金: 老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3
(少々計算が複雑ですので、下記リンクを参考にしてください。)
遺族年金についての詳細はこちら>
http://www.sia.go.jp/seido/nenkin/kyufu/03.html
なお、いずれの遺族年金も奥様自身の年収が850万円以上ある場合は対象外となります。
勤め先の企業で遺族年金制度を定めている場合もあります。
・生命保険ほか
民間の生命保険に加入していたり、会社の団体保険に加入している場合、死亡保険金が受け取れます。(事由により受け取れない場合もあります)
企業によっては退職金規定のなかに「死亡退職金」という規定を定めている場合があります。
上記遺族年金や既加入の生命保険で将来の生活が支えられないと考えられる場合は追加して生命保険に加入することも検討しましょう。
一家の大黒柱を失うということは想像を絶する悲しみだけでなく、その後の生活にも確実に経済的な影響を与えます。万が一のことは考えたくないとは思いますが、転ばぬ先の杖として準備をしておくことをおすすめします。
廣澤 知子
マネックス証券 シニア・フィナンシャル・アドバイザー