東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は3日ぶりに反発しました。日経平均は64円高の30,387円で寄り付くと9時40分過ぎに35円高の30,358円まで上げ幅を縮めましたが、持ち直すと10時50分過ぎに183円高の30,506円まで上昇し161円高の30,485円で前場を終えました。

188円高の30,512円でスタートした後場の日経平均は直後に202円高の30,525円まで上昇した後13時40分過ぎに130円高の30,453円まで弱含みましたが、その後引けにかけて上げ幅を広げると大引け間際に218円高の30,541円まで上昇し結局176円高の30,500円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も堅調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇となっています。

2.個別銘柄等

アスクル(2678)が一時4.6%高となりました。電子商取引(EC)需要の拡大で飲料などの生活用品が好調だったうえに、個人向け通販の固定費削減などもあり第1四半期の営業利益が前年同期比で9%増の32億円となり第1四半期として過去最高となったことで大幅高となりました。アース製薬(4985)も一時2.8%高となり年初来高値を更新しました。消費者の在宅時間が増えたことで主力の殺虫剤や入浴剤が伸びていることや、東南アジアなどの海外事業も業績をけん引することなどから2022年12月期にも純利益が100億円の大台に達する見通しと報じられたことが好感されました。

バイオマス発電大手のイーレックス(9517)も4.6%高となりました。2022年3月に山梨県で日本初の水素発電所を稼働させると発表したことが材料視されました。通信アンテナを手がける電気興業(6706)も香港の投資ファンドが5.05%分の株式を取得したことが大量保有報告書で明らかになったことで12.7%高となっています。また、投資判断や目標株価の引き上げに反応したのが小林製薬(4967)や三井ハイテック(6966)で、小林製薬が投資判断と目標株価の引き上げを受けて3.7%高となったほか、三井ハイテックも目標株価の引き上げを受けて7.2%高となっています。

一方で日本製鉄(5401)が6.0%安となりました。ユーロ円建て新株予約権付社債(転換社債)の発行で3000億円を調達すると発表したことで将来的な1株利益の希薄化や株式需給の悪化を懸念した売りが出ました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は176円高となりました。昨日の米国市場が小幅に高安まちまちとなり材料になりにくいなかで一昨日と昨日の2日間で350円近く下げていたこともあって買いが優勢となりました。しかし、350円近く下げたものの昨日時点での25日移動平均線との乖離率が5.7%と5%を相変わらず上回り、東証1部の騰落レシオも134%と120%を引き続き超えるなど短期的な過熱感は依然として強いままだったといえます。

それにも関わらず買い材料に乏しいなかで上昇となったことから地合いは引き続き強いといえそうで、こうしたなかで来週は14日に付けた約31年ぶりの高値(30,670円)を上回ることができるかがポイントとなりそうです。なお、日本時間の23時には9月の米ミシガン大学消費者態度指数速報値が発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)